一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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窒素の回収

質問者:   教員   はっぱ
登録番号3689   登録日:2017-02-20
いつもこのコーナーを楽しみにしています。
落葉樹が秋になり、葉の中のクロロフィルを分解して
窒素などを回収しますが、その際にはエネルギーは必要とされるのでしょうか。また必要であればそのエネルギーは何で供給されるのでしょうか。
はっぱ さん:

みんなの広場のご利用ありがとうございます。
緑葉が老化過程に入ると緑色から黄色(あるいは褐色、ときには紅葉)に変化しますがクロロフィルが変化するためですね。ちなみにクロロフィルの窒素は回収されないようです。この点は登録番号3650,3434に詳しく解説されています。緑葉老化の観点からは「クロロプラスト(葉緑体)の分解」とは葉緑体に大量に含まれるRUBISCOタンパク質の分解による遊離アミノ酸の生成、核酸類その他リン酸化合物の分解によるリン酸の遊離が重要な意味を持っています。これらの遊離低分子化合物やその他のイオン類が母樹へ回収されるのですが、生体膜(細胞膜、液胞膜)を通る物質の移動となります。生体膜における物質移動については登録番号3651に簡潔にまとめられています。ご参考にしてください。物質輸送には生体膜に局在するいろいろな輸送体やチャンネルが働きますが、結論的にはエネルギーを必要とする過程で基本的にはATPのエネルギーを利用しています。従って、緑葉老化に伴う物質回収には母樹細胞における活発なエネルギー消費系が働いています。
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2017-02-23
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