一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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サボテンの花が咲く時間帯について

質問者:   高校生   まる
登録番号3707   登録日:2017-03-11
サボテンが夜にかけて花を閉じる理由を教えてください。
まる さん

ご質問をありがとうございます。
私自身はあまり詳しくはありませんが、手もとで育てているサボテンの観察に基づいて、以下ように回答させていただきます。

そのサボテンは、現在開花中で、昼夜の開閉運動を続けております。詳しく観察すると、花には若い花(咲き始めたばかりの花)と古い花(咲き始めて何日か経っている花)があり、若い花は夕刻になると完全に閉じますが古い花はわずかにしか閉じない傾向にあることに気づきます。花弁は日々生長しているようですので、昼夜に同期した花の開閉運動は、タンポポの花の場合と同様に、花弁の内側と外側での生長差に基づく生長運動であると思われます。、生理学の用語では「傾性運動」と呼ばれることになり、昼夜への対応ですから「光傾性(または傾光性)、photonasty」によるものであることが想像されます。ただし、生長運動はエネルギーを消費する酵素反応により支えられているので当然のことですが、単なる昼夜(光)の変化以外に温度の影響も受け、温度が低いと開花しないなどの現象が見られます。

ところで、朝になって開花したサボテンを闇黒下に移しても花は閉じることはなく開花を続けるようですので、この生長運動には体内のリズムが深く関与していることは明らかだと思います。

文献を調べると、サボテンには、一日の開花で寿命を終えてしまうものから、今回の観察で使ったもののように何日も開花を続けるもの(その中には、昼夜のリズムがあるものと無いものがある)があり、また、開花の時刻には、ハスの花に似て、種や品種によっていろいろな場合があるようです。

サボテンは比較的取り扱いやすい植物材料ですので、ご自分で確かめて見て考察を深められることをお勧めします。
JSPPサイエンスアドバイザー
佐藤 公行
回答日:2017-03-23
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