質問者:
一般
いんぷり
登録番号3711
登録日:2017-03-18
植物には花の咲き方から、両性花、雌雄同種雌雄異花、雌雄異株に分かれますが、進化の過程ではどちらの方向に進んでいるのでしょうか、ご教示ください。
植物の進化の流れ
いんぷり さま
ご質問ありがとうございます。雌雄異株植物であるアスパラガスの研究をご専門とされている東北大学の菅野明先生に回答を願いしました。
【菅野先生のご回答】
植物の性表現としては、両性花、雌雄異花同株、雌雄異株の他にも、1つの株に雌花と両性花を同時につけるものや、雄花と両性花を同時につけるものがあります。また集団でみると、雌株と両性株が混在しているものや、雄株と両性株が混在しているものもあり、非常に複雑です。
植物種全体を見ますと70%以上は両性花のみをつける植物で、植物の性の起源は両性花植物です。被子植物のうち、両性花植物と雌雄異株植物の系統関係を調べてみると、雌雄異株植物は様々な植物群に見られることから、雌雄異株植物は被子植物の進化過程で独立に何回も進化したことがわかっています。つまり進化の方向性は「両性花→雌雄異株」となります。この進化過程では、雄ずいの機能欠損(メス化)と雌ずいの機能欠損(オス化)の2つの変異が生じたというモデルが提唱されており、実際にヒロハノマンテマやアスパラガスではこれら2つの因子が性染色体上に存在していることが示されています。一方、雌雄異花同株(1つの個体に雄花と雌花がある植物)のウリ科植物では、植物ホルモンであるエチレンによって雌雄性が決定されることがわかっています。エチレン生合成に関わる遺伝子群に変異が生じることで、ウリ科植物の性表現が変化することから、「雌雄異花同株→雌雄異株」という進化の方向性も提唱されています。
菅野 明(東北大学大学院生命科学研究科)
ご質問ありがとうございます。雌雄異株植物であるアスパラガスの研究をご専門とされている東北大学の菅野明先生に回答を願いしました。
【菅野先生のご回答】
植物の性表現としては、両性花、雌雄異花同株、雌雄異株の他にも、1つの株に雌花と両性花を同時につけるものや、雄花と両性花を同時につけるものがあります。また集団でみると、雌株と両性株が混在しているものや、雄株と両性株が混在しているものもあり、非常に複雑です。
植物種全体を見ますと70%以上は両性花のみをつける植物で、植物の性の起源は両性花植物です。被子植物のうち、両性花植物と雌雄異株植物の系統関係を調べてみると、雌雄異株植物は様々な植物群に見られることから、雌雄異株植物は被子植物の進化過程で独立に何回も進化したことがわかっています。つまり進化の方向性は「両性花→雌雄異株」となります。この進化過程では、雄ずいの機能欠損(メス化)と雌ずいの機能欠損(オス化)の2つの変異が生じたというモデルが提唱されており、実際にヒロハノマンテマやアスパラガスではこれら2つの因子が性染色体上に存在していることが示されています。一方、雌雄異花同株(1つの個体に雄花と雌花がある植物)のウリ科植物では、植物ホルモンであるエチレンによって雌雄性が決定されることがわかっています。エチレン生合成に関わる遺伝子群に変異が生じることで、ウリ科植物の性表現が変化することから、「雌雄異花同株→雌雄異株」という進化の方向性も提唱されています。
菅野 明(東北大学大学院生命科学研究科)
JSPP広報委員長
出村 拓
回答日:2017-05-12
出村 拓
回答日:2017-05-12