一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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仮軸分枝について

質問者:   一般   malo
登録番号3712   登録日:2017-03-18
いろいろご回答をいただいてうれしいです。私は全くの素人です。好きで面白くて、植物に触れています。できればやさしく教えてください。今回は登録番号3573で大学生のtomoさんが尋ねられた仮軸分枝についてです。
淀川河川敷などに生えているアキニレは、ブドウ科のつる以上に枝がジグザグと仮軸分枝状になっています。長谷部光泰教授の指摘されるように、この傾向は程度の差はあるものの、他の植物でも見られる現象です。現段階で考え得られる理論を教えてください。
malo さま

ご質問ありがとうございます。植物の形態と発生をご専門とされている基礎生物学研究所の長谷部光泰先生に回答を願いいたしました。

【長谷部先生のご回答】
アキニレ、調度、観察に良い時期ですので、伸び方を観察してみてください。若い枝はまっすぐではないでしょうか。また、仮軸分枝の場合は、主茎の先端に花序が付き、その下にある葉の腋芽が伸長します。つまり、花序(古い主茎)と葉の間から新しい主茎が伸びます。いいかえると、主茎をはさんで両側に葉と花序が付いているように見えます。しかし、アキニレの花序は、主茎と葉の間から伸びてきます。従って、アキニレは仮軸分枝ではなく単軸分枝です。では、どうして曲がるのでしょう。ぜひ、1年間を通して観察してください。今の時期に真っ直ぐな枝がいつからじぐざくになるかを観察されると良いと思います。ここからは、私の推測ですが、他の植物(例えばハルニレ)にくらべて、夏頃に腋芽が大きくないですか?アキニレは秋に腋芽から花序をだすため、主軸が伸長する時期、あるいは、主軸がやわらかい時期に腋芽が大きくなり、その影響で枝が曲がってしまうのではないかなあと思います。つまり、アキニレは秋咲きなので、枝がじくざぐになるのではないかという仮説です。同じ植物の成長過程を観察すると多くの新しい発見があると思います。これからも植物をよく見てみて下さい。

 長谷部 光泰(基礎生物学研究所)
JSPP広報委員長
出村 拓
回答日:2017-05-12