質問者:
会社員
伊藤 健太郎
登録番号3717
登録日:2017-03-27
3月下旬の愛知県で公園内を散策していた際に、カエデの若い枝が赤く色づいている様子を発見しました。みんなのひろば
春先のカエデの若い枝が赤く色づいたように見えるのは?
新葉が赤から緑になるような現象が枝でも起きており、樹皮(コルク層)が薄い部分では外観できる。という辺りまでは理解できるのですが、なぜ今までほとんど色を感じなかった部分に色が出るのか?については疑問のままです。春になると何かかが合成されるのでしょうか?
伊藤 健太郎 さん
みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
「今までほとんど色を感じなかった部分に色が出る」ことに疑問をもたれたと理解いたしましたが植物ではごくふつうに起こることです。カエデの着色はアントシアニンという色素が新たに合成されるために赤色に色づくためです。実は「カエデ」と言う表現が植物学的には不明瞭なもので、日本で公園などに植栽されている「カエデ」の多くはイロハカエデ、オオモミジあるいはヤマモミジ(これらもお互いに1種の変種ですが)の園芸品種で着色の仕方がかなり違うものです。イロハカエデでは新芽はできはじめから深紅色です。これは新芽形成のごく初期からアントシアニン合成、蓄積が起こるためです。チリメンカエデでは展開した葉の鋸歯の先端から着色し、次第に葉全体にアントシアニンの蓄積が起こります。ヤマモミジやモミジバフウなどでは葉柄とそれがついている若枝も初期から色素合成、蓄積が起こるので赤色、赤褐色です。このような細かい違いは育種の過程で人が好ましいと思った変異が残されてきたためです。
葉や茎では葉緑素、カロテノイドが常に作られますが、アントシアニンやベタレインが蓄積されれば葉緑素の緑色は隠されてしまい(暗)赤色になります。葉緑素が分解されればカロテノイドが残るので黄色になります。このときアントシアニンが合成されれば黄色は隠されて赤く見えます。緑色のトマトが赤くなるのは葉緑素が分解して赤いリコペン(カロテノイドの一種)ができるからです。色素性合成は、光、温度、水分、栄養の影響を強く受けますので、環境の違いは色素のでき方の違いとなります。
みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
「今までほとんど色を感じなかった部分に色が出る」ことに疑問をもたれたと理解いたしましたが植物ではごくふつうに起こることです。カエデの着色はアントシアニンという色素が新たに合成されるために赤色に色づくためです。実は「カエデ」と言う表現が植物学的には不明瞭なもので、日本で公園などに植栽されている「カエデ」の多くはイロハカエデ、オオモミジあるいはヤマモミジ(これらもお互いに1種の変種ですが)の園芸品種で着色の仕方がかなり違うものです。イロハカエデでは新芽はできはじめから深紅色です。これは新芽形成のごく初期からアントシアニン合成、蓄積が起こるためです。チリメンカエデでは展開した葉の鋸歯の先端から着色し、次第に葉全体にアントシアニンの蓄積が起こります。ヤマモミジやモミジバフウなどでは葉柄とそれがついている若枝も初期から色素合成、蓄積が起こるので赤色、赤褐色です。このような細かい違いは育種の過程で人が好ましいと思った変異が残されてきたためです。
葉や茎では葉緑素、カロテノイドが常に作られますが、アントシアニンやベタレインが蓄積されれば葉緑素の緑色は隠されてしまい(暗)赤色になります。葉緑素が分解されればカロテノイドが残るので黄色になります。このときアントシアニンが合成されれば黄色は隠されて赤く見えます。緑色のトマトが赤くなるのは葉緑素が分解して赤いリコペン(カロテノイドの一種)ができるからです。色素性合成は、光、温度、水分、栄養の影響を強く受けますので、環境の違いは色素のでき方の違いとなります。
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2017-03-31
今関 英雅
回答日:2017-03-31