一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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チューリップの毒性についておしえてください。

質問者:   その他   松本みや子
登録番号3744   登録日:2017-05-03
団地にすんでいますが近所の方がチューリップの毒性か接触アレルギーで湿疹ができたので花のおわったあとの後始末はゴム手袋をはめてやるほうがいいといわれました。毒性についておしえてください。
松本みや子 様

ご質問、ありがとうございます。

 チューリップの毒性については、2008年に、「みんなのひろば:植物Q&A」登録番号1553, 1847で、今関先生が詳しく解説されています。ぜひご覧下さい。
 その後の論文を調べてみましたが、大きな変化はないようですので、ほとんど同じような回答になりますことをご了解下さい。
 
 近所の方がチューリップに触れて湿疹がでたとのことですが、チューリップ(全草:花、葉、球根など)にはアレルゲン(アレルギーを起こす原因物質)が含まれていることが知られています。そのアレルゲンは、チューリパリンAの配糖体で、チューリポサイドAという物質です。この物質に感受性の高い人は、触れると皮膚炎を起こします。
 たまご、小麦、そばなどそれぞれによるアレルギーはよく知られていますが、ほとんどの人には問題ありません。チューリップの場合も多くの人には問題ないのではないかと思います。私もチューリップを育てていますが、素手であつかっても、問題ありません。
 しかし、ヨーロッパなどで、チューリップの花に頻繁に接触する業者の人の間では、Tulip Fingerとよばれる 皮膚炎が問題になっておりますので、チューリップをたくさん栽培される時などは、ごむ手袋を使用された方が無難かと思います。
 
 アレルゲン以外の毒性ですが、猫、犬、牛などが球根を食べて、嘔吐、胃痙攣、消化不良による下痢などの中毒症状を起こすことが知られています。牛の場合のように球根を食べた牛の約30% が死亡(主として子牛)したという例もあります。毒性の本体としては、細胞分裂やDNA合成を阻害するチューリピンという糖たんぱく質、アレルゲンのチューリポサイド、レクチンという糖たんぱく質、アルカロイドなどが考えられていますが、よくわかっておりません。
JSPPサイエンスアドバイザー
庄野 邦彦
回答日:2017-05-15