一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

チェックリストに保存

インジゴとインジカンについて

質問者:   会社員   ゲンゴロウ
登録番号3792   登録日:2017-06-17
ここ最近藍染を行う機会があり、それがきっかけで藍染に使用する植物を調べています。

植物中に含まれるインジカンが酵素により脱糖し出来たインドキシルが酸化することで藍色の成分であるインジゴが出来ることが分かりました。
またインジカンを含む植物は日本の蓼藍や琉球の琉球藍、インドのインド藍、イギリスのウォードなど世界に何種類かあることもわかりました。

蓼藍はタデ科、インド藍はマメ科、ウォードはアブラナ科とそれぞれ科が違うにも関わらず同じインジカンという成分を含んでいることに不思議に思いました。
おそらく何か理由があると考えられます。
インジカンをもつことがその植物の生存することにおいて有利に働いている推測しています。

インジカンは植物が成長、生存することにおいてどのような役割を果たしているのでしょうか。

ご返答お待ちしております。
ゲンゴロウ様

ご質問をありがとうございます。
インジカンの研究を推進されておられる 南 善子先生に回答をお願いいたしました。

【南先生の回答】
インジカンが植物にとってどのような役割をしているかは分かっていません。
インジカン自体は,植物の生命活動には必須ではありません。
このような物質を二次代謝物といいますが,他の植物にも様々な二次代謝物が含まれています。
これらの役割も,外敵に対する防御,生殖,エネルギーの貯蔵など様々です。
インジカンは植物から抽出されると青色の沈殿物インジゴとなりますが,この沈殿が虫などの外敵にとって問題(例えば消化不良など)となるのかもしれません。また,タデ藍の抽出物には,インジカン以外にも抗菌作用を示す物質も含まれていることが知られています。
大変興味深い問題ですので,研究の進展が待たれます。

 南 善子(岡山理科大学理学部生物化学科)
JSPPサイエンスアドバイザー
庄野 邦彦
回答日:2017-07-06