質問者:
教員
ミルク
登録番号3795
登録日:2017-06-18
現在高校生に理科を教えていますが、定年も間近であります。最近の生物は新しいことばかりで、堅い頭に鞭打って新知識を無理やり埋め込む日々です。と言いつつ質問事項は昔ながらのオーキシン分野です。オーキシンは極性移動をして伸長部に働きかけ植物の伸長を促進させます。そしてそのメカニズムは、プロトンポンプの活性化による細胞壁の酸性化、またカリウムイオンの輸送促進による濃度増加が引き金となり吸水力を上げるのだということもわかりました。茎の外側から見た場合、表皮、皮層、内皮、師部、木部、髄と並んでいますが、上記の作用はどの細胞にも働くのですか?でないと均等に伸びないから当然ですか?
植物の伸長部
ミルク様
みんなのひろばへのご質問ありがとうございます。
オーキシンのことについ新しいことは勉強なさっておられるようですので、とびっきり古い話をいたします。今から80年もの昔に、ウエントとティーマンにより「Phytohormones」と言う本が出版されています。この本は、川田信一郎・八巻敏雄のお二人により日本語に訳されています(「植物ホルモン」養賢堂・1951)ので、日本語の本をもとに話を進めさせて頂きます。
この本の第3章が生長素の検出法でその中のA,B,Cはアベナ・テストに割かれており、Dが生長素定量の別法で、その中の2にエンドウ試験法があります。この方法につて述べます。エンドウの芽生えの生長中の茎が材料です。4cm に切って、先端の3cmを縦に裂きます。これを水またはオーキシン溶液に浮かべます。水に浮かべたものは Y の字に開き、先端は外側に向かって曲がります。オーキシン溶液に浮かべたものも、Y の字に開きますが、先端は内側に曲がります。
この結果はミルクさんのご質問の答えを示していると思います。水に浮かべた場合、外側に曲がるのは、内側の細胞は吸水して膨らむのに、表皮は伸びないからで、オーキシン溶液に浮かべた場合、内側に曲がるのは、オーキシンにより表皮が伸びるからです。
茎の切片を水に浮かべた場合、内部の組織は吸水して体積を増やし、伸びようとしますが表皮が伸びを許さないので、伸びませんが、オーキシン溶液に浮かべた場合には、オーキシンの働きで表皮が伸びられるようになるので、茎の切片としても伸びるのです。
オーキシンは表皮細胞に働いて、表皮細胞の細胞壁を伸びやすくしているのです。
みんなのひろばへのご質問ありがとうございます。
オーキシンのことについ新しいことは勉強なさっておられるようですので、とびっきり古い話をいたします。今から80年もの昔に、ウエントとティーマンにより「Phytohormones」と言う本が出版されています。この本は、川田信一郎・八巻敏雄のお二人により日本語に訳されています(「植物ホルモン」養賢堂・1951)ので、日本語の本をもとに話を進めさせて頂きます。
この本の第3章が生長素の検出法でその中のA,B,Cはアベナ・テストに割かれており、Dが生長素定量の別法で、その中の2にエンドウ試験法があります。この方法につて述べます。エンドウの芽生えの生長中の茎が材料です。4cm に切って、先端の3cmを縦に裂きます。これを水またはオーキシン溶液に浮かべます。水に浮かべたものは Y の字に開き、先端は外側に向かって曲がります。オーキシン溶液に浮かべたものも、Y の字に開きますが、先端は内側に曲がります。
この結果はミルクさんのご質問の答えを示していると思います。水に浮かべた場合、外側に曲がるのは、内側の細胞は吸水して膨らむのに、表皮は伸びないからで、オーキシン溶液に浮かべた場合、内側に曲がるのは、オーキシンにより表皮が伸びるからです。
茎の切片を水に浮かべた場合、内部の組織は吸水して体積を増やし、伸びようとしますが表皮が伸びを許さないので、伸びませんが、オーキシン溶液に浮かべた場合には、オーキシンの働きで表皮が伸びられるようになるので、茎の切片としても伸びるのです。
オーキシンは表皮細胞に働いて、表皮細胞の細胞壁を伸びやすくしているのです。
JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2017-07-05
柴岡 弘郎
回答日:2017-07-05