一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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どうして葉緑体の速度=原形質流動速度?

質問者:   その他   ちえこ
登録番号0381   登録日:2005-09-12
原形質流動速度はそれぞれの原形質の大きさによって異なりますよね?
核と葉緑体と細胞質基質はそれぞれ流動速度は異なりますよね?
だからどうして葉緑体の速度=原形質流動速度なのか教えてください。

またできたらどうして移動速度が異なるのかということも教えていただけたらうれしいです(大きさが違うからではダメでしょうか?)。
ちえこ様
 みんなの広場へのご質問ありがとうございました。サイエンス・アドバイザーの柴岡です。原形質流動についての専門家ではありませんが、お答えできる範囲内でお答えさせていただきます。原形質流動はオオカナダモを使ってご覧になったのでしょうか。オオカナダモでは葉緑体が細胞質と一緒に流れているので、葉緑体の動く速度=原形質流動の速度としても、あまり間違いではないのですが、原形質流動は行っているのに葉緑体は動かないでいる場合もあり、葉緑体の動く速度=原形質流動の速度は常に正しいわけではありません。原形質流動の研究によく使われるシャジクモの細胞では、葉緑体は全て細胞を包んでいる細胞膜の近くに固定されており、原形質流動は葉緑体より内側で起こっています。ですから、原形質流動の速度を葉緑体の動きから知ることはできないのです。シャジクモの細胞では核は細胞質と一緒に流れていますので、核などの細胞質と一緒に流れるものの動きから速度を知ることが出来ますが、こうして調べた流動の速度は、細胞内の場所により違っていて、葉緑体の近くでは早く、細胞の中央に行くほど遅くなります。これは葉緑体の上(内側)に流動のための力を生じる仕組みがあり、そこで生じた力によって細胞質の流れが起きているからです。葉緑体などが動いているのに核だけは動かないでいる細胞があります。核が細胞骨格と呼ばれている繊維状のもので動かないように繋ぎ止められているからです。
JSPPサイエンス・アドバイザー
 柴岡 弘郎
回答日:2009-07-03
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