一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

チェックリストに保存

ひまわりの苞の先のとがりについて

質問者:   一般   なんでだろ?
登録番号3815   登録日:2017-07-09
ひまわりの花の周りにある苞の先が鋭くとがっています。それはどうしてでしょうか? 時々、舌状花がまだ黄色い花やタネになったひまわりをスケッチします。そのたびにその尖りが気になります。それがなぜあるのか、何かから花やタネを守っているのだろうか、だとしたら一体何から、そしてどれだけの効果があるのか。愚かな質問かと思いますが教えて下さい。
なんでだろ?様

質問コーナーへようこそ。歓迎いたします。

花のスケッチを楽しんでおられるようですが、面白いことに気づかれましたね。「苞」と呼ばれる器官は植物学的には単純ではなく、一括りに定義することはできません。その役割についても、例えばヤマボウシやドクダミの花の一見花弁のようなものは苞ですから、この場合苞は普通の花の花弁の働きをしていることになります。ここでは「苞」全般のことは省いて、ご質問の内容に限って説明いたします。ヒマワリや他のキク科の植物の花では花軸の基部に緑色の厚い、披針形の葉のように先が尖った苞(総苞片)が集まってできた総苞が花を支えるようにできています。総苞は花が蕾の時はそれを包み込むように覆っています。つまり、ヒマワリ(キク科)の花の場合、苞は蕾や若い花を昆虫やカビの胞子などから護ったり、風雨などの激しい気候による傷害を防いだりする役割を担っていると考えられています。なぜそのように鋭い先端を持つ形になっているのかはわかりません。植物(生物全般に)のそれぞれの器官の形状は実に様々ですが、進化的に想像して、それぞれの植物が固有の形を持つに至った過程にはそれなりの理由があるだろうと思います。苞(苞片)の先端が尖ったものはヒマワリに限ったことではありませんので、それが何かヒマワリに特別な意味を持つものではないでしょう。苞は花が成長してしまうと枯れて落ちてしまうものもありますが、ヒマワリでは種子ができても残っていますね。もしかすると、その苞の鋭い先端が、種子をつい喰みに来た鳥を追い払うのに役立っているのかもしれません。しかし私の経験では、庭に植えたヒマワリの花にできた種子をシジュカラやカワラヒワやワカケホンセイインコがついばんでいるのを何度も見ていますので、そういうことはないような気がします。いずれにしろ植物のある形状がどうしてそうなっているかを明らかにするのはとても難しいことです。
JSPPサイエンスアドバイザー
勝見 允行
回答日:2017-07-23