一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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光照射時間と光阻害の関係はあるか

質問者:   高校生   ツッキー
登録番号3825   登録日:2017-07-19
学校で植物プランクトンの光照射の時間を変えて、光合成速度の変化をみる実験を行いました。光照射の時間を1日(24時間)に設定したものと、0時間に設定したものの光合成が抑制され、中間(12時間)の条件を設定したものが上記の2つの条件の倍近く光合成をしていました。0時間の条件下の個体は抑制された理由を理解できるのですが、24時間の条件下の個体の光合成が抑制されたことがよく理解できません。短日植物、長日植物、中性植物があることは知っているのですが、植物プランクトンは花芽形成をしないので、これらの知識が応用できず
明確な結論が導き出せないです。光阻害は光の強さの問題ですが、光照射の時間によって光阻害が起こることはあるのでしょうか。それとも単なる実験の不備でしょうか。
ツッキー 様

このコーナーをご利用くださりありがとうございます。

一定の光(生育光)条件のもとで培養しておいたプランクトンを、別の光条件下に移して光処理し、ゼロ時間、12時間、24時間の時間が経過した後にサンプルを取りだし、それぞれのサンプルについて適当な光(反応測定光)を用いて光合成速度を見積もっておられるものと理解されます。そうであるとした場合、対照(コントロール)に相当するのは光処理時間ゼロの場合の光合成値となるので、これが抑制されているとする表現には理解に苦しみます。何か別の事情があるのでしょうか。ところで、実験に用いられた材料は「植物プランクトン」と書かれていますが、実際には特定の藻類あるいはシアノバクテリアを用いられたのでしょうか。質問文では個体の光合成として説明されておりますが、細胞数を数えるなど光処理中でのプランクトンの増殖は考慮されているのでしょうか。

以上、回答者からの質問が多くなって申しわけありません。回答としては、光合成活性の変化を、中点時間(12時間)だけではなく、時間経過として幾分詳しくに追跡してみられると、日周リズム的に活性が変動しているのか、それとも光阻害のような現象が関わっているのかが分かるのではないかと思います。一般論として言えば、光阻害は光による光合成装置の損傷とその損傷を修復する反応のバランスの上に成り立っておりますので、光処理に用いる光の強度が一定であっても、修復過程に影響を与える内外の諸因子の時間変化が阻害の程度に関わって来ることになります。

出来ましたら、実験条件を幾分詳しく記述し、改めてご質問をお寄せください。
JSPPサイエンスアドバイザー
佐藤 公行
回答日:2017-07-23
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