一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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光合成について

質問者:   大学生   てんてん
登録番号0384   登録日:2005-09-14
質問が3つもあります。

1.植物は光のエネルギーを使って、ATPを生産しているのですが、そのクロロフィルや葉緑体も人と同じ、紫外線によりダメージをうけていると思います。
人ならチロシンからメラミンができ、黒くなるんですが、植物ではどうなんですか?特に不思議に思うのが、形成層のない竹は花を咲かせ死ぬまで、ずっと同じ肌で太陽光を浴びつづき「皮膚がん」にはならないのですか?

2.葉緑体やミトコンドリアは独自のDNAを持っているが、細胞が分裂する際、それらの分配はどうなっているのですか?
また、独自の遺伝情報を持つなら、それら自身も違う様式で分裂を行うと思います。細胞に制御されるだろうが、詳しい仕組みを教えていただけますか?

3.梨や西瓜など多くの果物は部位によって甘さが違う理由はなんですか?
梨は外のほうが甘いけれど、西瓜では真ん中が一番甘い。葡萄も上の粒と下のと味が違う。
全部甘くするなんて無理ですか?

長々とすみませんでした。よろしくお願いします。
てんてん君/さん
 
みんなのひろば質問コーナーへの質問のうちの2について、この分野が専門である立教大学の黒岩常祥先生に回答をいただきました。


質問
2.葉緑体やミトコンドリアは独自のDNAを持っているが、細胞が分裂する際、それらの分配はどうなっているのですか?また、独自の遺伝情報を持つなら、それら自身も違う様式で分裂を行うと思います。細胞に制御されるだろうが、詳しい仕組みを教えていただけますか?

回答
さて、質問の件ですが、ミトコンドリアも葉緑体も、20億年前には細菌だったので、真核細胞では、細胞質内に棲息する細菌のように分裂増殖します。核分裂(DNAの分配)を伴いながら分裂増殖します。しかしミトコンドリアや葉緑体が勝ってに増殖すると、宿主細胞核としては困るので、ミトコンドリアと葉緑体が勝ってに増殖しないように、細胞核は分裂装置(リング)を使って制御しています。
詳しくは、「ミトコンドリアはどこからきたか」NHKブックス、黒岩常祥著をご覧下さい。

 黒岩 常祥(立教大学)
JSPPサイエンスアドバイザー
 勝見 允行
回答日:2009-07-03