質問者:
一般
青い空
登録番号3868
登録日:2017-08-21
公園のボランティアをしています。みんなのひろば
ゴボウ(牛蒡)は2年草か多年草か?
耕作放棄地から種が飛んできたのか、公園のあちこちにゴボウが増えてきました。
抜き取る(掘り出す)のは大変な作業になると思われ、早めに対応したいと思います。
持っている図鑑には二年草と書かれていますが、インターネットの中には二年草との記述も多年草との記述もあります。二年草であれば、毎年種を作らせないように刈取れば減少させる事ができると考えています。
どちらなのでしょうか?
よろしくお願い致します。
青い空 さん
みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
1年生植物、2年生植物、多年生植物という分け方が確かにあります。一般には、春に発芽、生育し、1年以内に開花、結実して個体が枯死するものを1年生植物、秋に発芽し冬を幼植物の状態で過ごして翌年春から秋にかけて開花、結実して枯死するものを2年生植物、木本に見られるように個体が何年も枯死することなく開花、結実を繰り返す植物、環境条件が悪い場合に地上部は枯死しても地下の茎(球茎、根茎、塊茎)根(塊根)、葉(鱗茎)が貯蔵器官となって生き残り、翌年これらが発芽して栄養体を形成する草本は多年生植物(草本の場合、園芸分野では宿根草)と呼んでいます。しかし、草本、特に栽培植物ではこれらの区別は曖昧です。同じ種であっても、生育環境(特に温度条件、栄養条件)によっては2年生植物が1年生の性質を示したり、多年生の性質が1、2年生の性質を示したり、またその逆の場合も観察されたりするので種に固定された本来の性質ではないようです。
さて、ゴボウ(Arctium lappa L., greater burdock)を見てみましょう。牧野先生の新日本植物図鑑では「越年草」つまり2年生植物と、英語版のWikipedia、アメリカ農商務省(USDA)のデータベースでも2年生植物(biennial)と記載されていますが、日本語版ウィキペディアでは多年生とされています。もう少し追跡してみました。カリフォルニア州バークレーのNPO Califlora Databaseでは「perennial herb多年生草本」, eFloras.org の“Flora of China”では「biennial」となり、2年生植物とする記載が多く、多年生植物とするものは2例でした。
そこで、ゴボウそのものの性質を見てみます。日本で食用にするゴボウは春蒔き(3月下旬~6月上旬)、収穫(7月上旬~9月下旬)と秋蒔き(9月上旬~9月下旬)、収穫(11月下旬~翌年2月下旬)が標準のようですが、収穫は花が咲くまえの未成熟の根が目的ですから播種後100日から150日となります。放置すれば翌年6月から9月にかけて開花、結実して地上部は枯死しますから2年生植物と言えます。ところが、ときには地中の残された根から再び発芽して地上部栄養体を形成することがあるようです。とすれば多年生植物的でもあるわけです。しかし、この場合、食用になるような根は形成されません。前年の根は栄養を供給して終わりです。またゴボウは連作に弱い作物ですのですから同じ栄養体からの再生系統は続かないはずです。通常の意味の多年生植物とは言えないものです。
冒頭に記述したように、人の目から見た分け方で、厳密なものではありませんので、どちらをとるかは解釈の問題で本質的なものではないものです。野生化したものの防除はむずかしい課題ですが2年生だろうと多年生だろうと種子を作らせないよう根気よく除去するのは一つの手段でしょう。
みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
1年生植物、2年生植物、多年生植物という分け方が確かにあります。一般には、春に発芽、生育し、1年以内に開花、結実して個体が枯死するものを1年生植物、秋に発芽し冬を幼植物の状態で過ごして翌年春から秋にかけて開花、結実して枯死するものを2年生植物、木本に見られるように個体が何年も枯死することなく開花、結実を繰り返す植物、環境条件が悪い場合に地上部は枯死しても地下の茎(球茎、根茎、塊茎)根(塊根)、葉(鱗茎)が貯蔵器官となって生き残り、翌年これらが発芽して栄養体を形成する草本は多年生植物(草本の場合、園芸分野では宿根草)と呼んでいます。しかし、草本、特に栽培植物ではこれらの区別は曖昧です。同じ種であっても、生育環境(特に温度条件、栄養条件)によっては2年生植物が1年生の性質を示したり、多年生の性質が1、2年生の性質を示したり、またその逆の場合も観察されたりするので種に固定された本来の性質ではないようです。
さて、ゴボウ(Arctium lappa L., greater burdock)を見てみましょう。牧野先生の新日本植物図鑑では「越年草」つまり2年生植物と、英語版のWikipedia、アメリカ農商務省(USDA)のデータベースでも2年生植物(biennial)と記載されていますが、日本語版ウィキペディアでは多年生とされています。もう少し追跡してみました。カリフォルニア州バークレーのNPO Califlora Databaseでは「perennial herb多年生草本」, eFloras.org の“Flora of China”では「biennial」となり、2年生植物とする記載が多く、多年生植物とするものは2例でした。
そこで、ゴボウそのものの性質を見てみます。日本で食用にするゴボウは春蒔き(3月下旬~6月上旬)、収穫(7月上旬~9月下旬)と秋蒔き(9月上旬~9月下旬)、収穫(11月下旬~翌年2月下旬)が標準のようですが、収穫は花が咲くまえの未成熟の根が目的ですから播種後100日から150日となります。放置すれば翌年6月から9月にかけて開花、結実して地上部は枯死しますから2年生植物と言えます。ところが、ときには地中の残された根から再び発芽して地上部栄養体を形成することがあるようです。とすれば多年生植物的でもあるわけです。しかし、この場合、食用になるような根は形成されません。前年の根は栄養を供給して終わりです。またゴボウは連作に弱い作物ですのですから同じ栄養体からの再生系統は続かないはずです。通常の意味の多年生植物とは言えないものです。
冒頭に記述したように、人の目から見た分け方で、厳密なものではありませんので、どちらをとるかは解釈の問題で本質的なものではないものです。野生化したものの防除はむずかしい課題ですが2年生だろうと多年生だろうと種子を作らせないよう根気よく除去するのは一つの手段でしょう。
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2017-08-23
今関 英雅
回答日:2017-08-23