一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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フクジュソウとセツブンソウの組織培養について

質問者:   会社員   HIROAKIN
登録番号3885   登録日:2017-08-28
ユリなどはツボミ(雄蕊や雌蕊)、葉片など、各器官を外植体として組織培養が可能ですが、フクジュソウとセツブンソウにおきましても、同様に組織培養での増殖が可能でしょうか。
もし、可能な場合はどのような器官が適しているかや具体的な培養方法について教えていただけますと幸甚です。
どうぞよろしくお願いいたします。
HIROAKIN さん:

みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。

私たちは植物の組織培養はすべての種で出来ると信じて培養を始めます。「組織培養」で表現される中身には、器官培養(茎頂培養)、カルスの培養、カルスからの植物体再生などいろいろあり、まず組織培養を行う目的を明確にしておくことは重要です。また、「具体的な培養方法」とはどの程度なのか分りませんが、組織片の滅菌、無菌培地の作成、無菌状態下の移植、定温培養などの方法はご存じとの前提に立ちます。これまで沢山の植物種についての組織培養が行われ、基本的手法(組織の滅菌法、基本培地組成、植物ホルモンの種類など)はほぼ確立していると言えます。しかし、個々の植物種の培養法については実験者が基本的手法からはじめ、いろいろ試行錯誤(主には、無機塩濃度の変更、植物ホルモン濃度、比率の変更、培養温度など)を繰り返して最善の方法を見つけて成功へ至っています。ご質問のフクジュソウ、セツブンソウともにキンポウゲ科の多年草ですが、それらの組織培養の具体例を見つけることが出来ませんでした。結局、ご自分で条件を探しながら成功へ導くことになるでしょう。

組織培養の基本的方法の具体的な総説がありましたので、まずこの方法から始めては如何でしょうか。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu1962/6/3/6_3_178/_pdf

組織培養に用いる外植片を得る植物体は温室内などで栽培した植物体から切り出す方がよく、野生の頑丈そうな植物体と比べ付着している微生物の量がかなり少ないので組織片の滅菌が容易です。フクジュソウ、セツブンソウも一旦、移植して室内栽培にし、そこから出た比較的若い植物体からの採取をおすすめします。茎頂、葉、茎などどの器官が良いかは予測できません。

根気よく試験を繰り返して下さい。ご成功を願っています。
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2017-08-30
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