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春出葉球根の冬季の間の生理について

質問者:   一般   夢忠庵
登録番号3886   登録日:2017-08-28
リコリスの栽培を趣味としています。
秋出葉球根(彼岸花等)は冬季の間葉を伸張し盛んに光合成します。春出葉球根(キツネノカミソリ等)は夏に花を咲かせた後は葉を展開すること無く春の出葉期まで地中で休眠しているように見えます。果たしてこの間の球根の生理状況はどうなっているのでしょうか?根を中心に活動し自らの充実を図っているのでしょうか?
春の出葉期まで陽光は必要無いのでしょうか?
厳冬期を除いた春出葉球根の生理についてご教授ください。
夢忠庵様

質問コーナーへようこそ。歓迎いたします。 

Lycoris 属のキツネノカミソリやナツズイセン(以下リコリスと表示)などは日本や中国などアジア原産のものですが、その特異な花のつき方で外国でも garden plantsとして珍重されているようですね。Resurrection Lily (復活ユリ)とか Surprise Liliy(びっくりユリ)などと呼ばれています。一般に球根はチューリップやスイセンに見られるように、葉が出て光合成活動が始まると、栄養とエネルギーの供給によって球根の中で眠っていた花芽が伸び始めます。そして、花が終わってからもまだ葉の光合成活動は続き、次の世代への栄養を蓄えます。そして周囲に子球を作り繁殖を図ります。そして休眠の過程にか入ります。休眠期は全く何も起きていないわけではありません。幼芽は種子にしろ、樹木の葉芽(樹芽)にしろ植物体の先端、つまり茎頂と同じですから常に存在しています。休眠している球根、種子、樹芽は植物ホルモンのアブシシン酸のような成長抑制物質ができて、形態上の成長は起きずに眠っています。植物の種類によってこの間に成長を促進するジベレリンのような植物ホルモンが合成されたり、成長抑制物質が減少したりなどの生理的変がが起きています。これらの変化は環境の温度や日照などが引き金になっています。そして適切な環境条件になると葉が現れ、花が咲くというわけです。このような生活環(ライフィサイクル)は基本的にどの球根も同じです。リコリスなどはそれらのフェース(相:phase)にズレが生じていると考えればいいのではないでしょうか。リコリスは春になるとまず葉が先に伸びて成長し、十分な光合成活動をして、養分を蓄えます。そして夏に枯れると今度はすでに形成されていた花芽が大きく成長を始めます。夏が終わり花も枯れて、秋冬とだんだん低温に時期に入っていきます。この低温の時期に花芽が作られるようです。園芸関係の資料を見るとナツズイセンの場合は冬季(12月から2月頃)の温度が20℃以上が続くと花芽形成が起きないようです。

じゃなぜ、リコリスのようなライフサイクルを持った植物があるのかと言うと、これらの元々の植物が進化の過程でどんな自然環境の中で作られてきたかということと関係があるという以外には分かりません。ご質問の「休眠期に陽光は必要ないか」の回答えは「ないです」。「厳冬期を除いたーーー」の回答は「上記説明のとおりです」。なぜ「厳冬期を除いた」と言われるのか理由がわかりませんが、「厳冬期は必要です」
JSPPサイエンスアドバイザー
勝見 允行
回答日:2017-08-30
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