一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

チェックリストに保存

パキラの剪定後

質問者:   会社員   みさ
登録番号3910   登録日:2017-09-21
斑入りパキラの天頂部(1番上)の大きい幹がおれてしまいました!キレイに剪定した方がいいとおもい、成長点から少し上の方からカットしました!そのすぐ横には小さな3センチくらいの赤ちゃんがでていました!その他の同時期くらいにでてきた赤ちゃんの葉は手のひら以上なのにその天頂部カットしたすぐ横の葉は3センチほどで止まったまま成長が見られません!1番上をカットした場合、それ以上、上にのびることはなちのでしょうか?
みさ様

質問コーナーへようこそ。歓迎いたします。パキラは育て易いとうことで、人気のある観葉植物ですね。ご質問にある用語「成長点」というのは植物学では以前は茎や枝の先端部のことを指しており、その部分は細胞分裂が盛んに行われて、次々と幼葉が作られています。現在は「成長点」という用語は使わず「茎頂(ケイチョウ)」と呼んでいます。調べてみますとパキラなどの栽培関係では、葉/枝が茎に付着していた部分(節=セツ)を成長点と呼んでいるようですね。
ご質問のパキラのように特定の植物の栽培に関する疑問には適切な回答はできませんが、一般的な植物学上の問題として説明いたします。
普通の植物は前述のように茎頂で成長が進みます。ここはドーム状の分裂組織があり、もっぱら細胞分裂が行われて細胞が増えていきます。これらの細胞は順次下方へを押しやられ、そこで様々な組織を構成する細胞にして分化していきます。細胞自体も主として縦に長く伸長し、全体として茎が伸びていくことになります。茎頂ではさらに表面に将来葉となる葉原基が植物によって決まった場所に分化します。これらは茎の伸長とともにだんだん下方へ押しやられ、葉原基は成葉へと成長します。葉が形成された場所が節(セツ)となり、茎は縦に長い節間のつながりとなります。また、葉柄基部上側と茎との接着箇所に側芽(腋芽)が分化し、これは将来の枝です。植物には頂芽優勢という現象があり、茎頂が存在するとその下部にある側芽は成長を抑えられているのが普通です。これは茎頂でつくられて下方へ輸送される植物ホルモンのオーキシンが関係しています。(頂芽優勢に関しては質問コーナーでこの項目を検索してください。)この抑制効果は茎の下方へ行くほど弱くなるのが普通です。パキラの場合も頂芽(あるいは頂芽を含む茎の上部)を切除すると、その下位にある節の側芽(もし形成されていれば)が成長を開始するはずです。
さて、すでに節にある葉自体の成長のことですが、それは植物の種類や個々の生育状況にもよるのではないかと思います。幼葉が自分で十分な光合成能力を備えるまで大きくなっていないと、成長を続けるには他からの栄養分の供給が必要ですし、もちろん植物ホルモンなども必要です。茎の切除箇所のすぐ下の節にある葉はこれらが十分に賄えていないのではないでしょうか。ことに側芽があるとそちらの成長と競合することになり、葉の成長は著しく低下することも考えられます。
一番上の小さい葉は時間をかけても成長しないまま枯れてしまうのですか。
JSPPサイエンスアドバイザー
勝見 允行
回答日:2017-09-29