一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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枝豆在来種の品質のバラつきと原因について

質問者:   会社員   毛豆
登録番号3926   登録日:2017-10-03
青森県の在来と言われている「毛豆」と呼ばれる品種を栽培しています。

在来と言われるだけあり、品質にバラつきが出ることが多く見られます。もともと毛深く、濃いめの緑色の莢ですが、「毛豆」とは明らかに違う、

・さらに大きめの莢
・平たい莢
・莢の色が黄緑色
・枝豆(未完熟)の状態で食べても味がほぼ無い

以上のような莢ばかりが実る株がたまに出ます。
今年、「毛豆」と呼ばれる、豆が実っている株に混在して、上記の豆ができるようになってしまいました。

原因は何だと考えられるものでしょうか?
毛豆様

質問コーナーへようこそ。歓迎いたします。毛豆の栽培をされているとのことですが、家庭菜園でしょうか、それとも生業でやっておられるのでしょうか。種子はどこからか購入されているのか、自前で調達されているのでしょうか。
市販されている植物(農作物)の種子を蒔くと、普通は形態的(見た目)にも質的にもほぼ同一の個体が育ちます。それはこれらの種子(植物)はいわゆるほぼ「純系」(登録番号1619を参照してください。)と呼ばれているものだからです。つまり、目的の形質に関しては遺伝的に同じであるように育種されたものだからです。使用している種子が純系に近いものでない場合は、いろいろな形質が生じる頻度は高いでしょう。純系でもクローンと違って全ての遺伝子が同じではありませんので、時々異常なものや、変わり種の個体が生じることもありますが、それは環境要因の影響によることもあります。また、もしかすると新しく突然変異(遺伝子の)が起きているのかもしれません。また、もしあなたが畑で採取した種子を播いているとしたら、他の畑の別の個体との間で起きた自然交配による自然雑種ということもあります。青森県特産の毛豆の特徴が十分にでている揃った毛豆を栽培するには、純系に近いものを育種しなければなりませんが、もうそういう品種は作られているのではないでしょうか。農作物の育種のことは本学会が扱うこととは離れていますので、育種関係の参考書などを参考になさってください。

JSPPサイエンスアドバイザー
勝見 允行
回答日:2017-10-08