一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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花のABCモデルと分裂制御の関係について

質問者:   教員   とみー
登録番号3930   登録日:2017-10-07
現在、高校生物の授業で、花の形態形成に関わるABCモデルを突然変異体の写真とともに紹介しています。

Cクラス遺伝子はおしべ、めしべの発生とともに幹細胞の分裂停止にも関わっているので、Cクラス変異体(agamous変異体)では2次花、3次花が形成されるという話をしました。

その後、生徒が様々な書籍を読み、「本には「Aクラス遺伝子の1つであるAP1という遺伝子が壊れると、花の中に側芽としての花をつくる」と書いてあるのだが、どのような形態になるのか詳しく教えて欲しい」と質問してきました。

私なりに調べてみたのですが、葉の付け根に側芽ができるのはイメージできるものの、花の場合、付け根のどこに側芽が存在するのかさえよくわかりません。

ap1変異体の写真があれば理解できるのかとも思いましたが、見つけられませんでした。

高校生と相談し、このコーナーに質問させていただくことにしました。何卒、ご返答よろしくお願い致します。

とみー さま

ご質問ありがとうございます。花の発生をご専門に研究されている奈良先端科学技術大学院大学の伊藤寿朗先生に回答していただきました。

【伊藤先生の回答】
AP1遺伝子の突然変異体であるap1の写真をご覧ください。
ap1突然変異体では、がく片が葉に変換します。その結果、一番外側に作られる葉の内側から突然変異体タイプの花が伸びます。「花の中に側芽としての花をつくる」のは、4つの葉の内側に4つの花が着くのはまれで、通常は先の写真のように、2つ出来ます。ap1突然変異体の正式名称はapetala1突然変異体です。apetala1で、Google画像検索されると、他の花の写真も見ることができます。
それにしても、頼もしい、将来楽しみな生徒さんがいますね。




図:ap1突然変異体

図:ap1突然変異体

伊藤 寿朗(奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエンス研究科)
JSPP広報委員長
出村 拓
回答日:2017-10-12
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