一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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水草の生態

質問者:   その他   吉川 義一
登録番号0399   登録日:2005-10-17
琵琶湖には夏季に異常に繁茂します。
富栄養化が原因と推定されています。

水草の栄養吸収は 沈水草 浮草に分けてお答えください。

1)根 から
2)茎 葉っぱ から

お教えください。

沈水草は栄養分は水中に有りますので

葉っぱ や 茎から
浮草は根っこ から

と推定しますが如何
吉川 義一さま

 ご質問についてお答えします。

1.沈水植物の栄養塩吸収について
 一般的に水生植物の根は退化しているものが多く、葉から栄養塩を吸収していると考えられています。しかしオオカナダモ、コカナダモ、フサモ等の沈水植物は他の水生植物と比較して根が発達しており、根と葉の両器官で栄養塩を吸収することが出来ます。特に富栄養化の指標として重要な栄養塩であるリンに関しては、根周囲の土壌中リン濃度が湖水と比較して非常に高いため、自然環境下では根がリン吸収に主に寄与していると考えられています。ただし、私達の研究で、オオカナダモでは葉と根は同じくらいリンを吸収する能力を持っていることが明らかになっています。

2.浮遊植物の栄養塩吸収について
 浮遊植物の一部では、根と葉の両器官から栄養塩を吸収することが出来るという報告があります。主要な栄養塩吸収器官がどちらかという報告はほとんど無いのですが、恐らく根が主要な吸収器官であると考えられます。

 確かに富栄養化により水生植物が繁茂しているのですが、水生植物の中には浄化作用を持つ植物があります。特にヨシ等の水生植物は水をきれいにすることで有名な植物です。現在はこのような植物を利用して湖をきれいにしようとする試みがなされています。
 また、琵琶湖南湖では、夏場にオオカナダモやクロモが繁茂していますが、それでは、そのあたりで水の汚染が進んでいるかというと、琵琶湖の研究者によると、逆に水はきれいに澄んでいるとのことです。これも、水生植物が栄養塩を積極的に吸収しているからと考えられます。
奈良女子大学
 太田 経子
回答日:2009-07-03
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