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竹は陰生植物か、陽生植物か

質問者:   自営業   アノマロ
登録番号4067   登録日:2018-04-17
通勤の途中で見える竹林をみて、竹は陰生植物と陽生植物のどちらに分類されるか疑問におもいましたので質問させていただきます。
また、光補償点は他の陰樹や陽樹と比べるとどうなのか、教えていただけると幸いです。
アノマロさん

植物 Q&A「みんなの広場」へようこそ。質問を歓迎します。
この問題は、生態学が専門の寺島一郎博士(東京大学大学院理学系研究科)に答えていただきました。
寺島博士の冒頭の言葉のように、「全ての植物を陽生植物と陰生植物にきっちりと二分することはできず、その境界を定めるきまりのようなものもありません。」が答えとなります。

【寺島先生からのご回答】
タケは陽生植物か陰生植物か
というご質問ですが、全ての植物を陽生植物と陰生植物にきっちりと二分することはできず、その境界を定めるきまりのようなものもありません。この問題については、すでに登録番号1955や登録番号3693に回答しましたので、ご覧になってください。

 同じような言葉に、陽樹と陰樹というものがあります。例えば、アカマツは陽樹で、シラカシは陰樹です。どちらも大木になりますから、高いところにある葉は100%の日光を受けます。陽樹と陰樹は、芽生えの性質で区別します。芽生えが明るい場所でしか大きくなれないのが陽樹、かなり暗くても(例えば常緑針葉樹アカマツの林床でも)大きくなれるのが陰樹です。では、鬱蒼とした常緑広葉樹シラカシの林床ではシラカシの芽生えは大きくなるのでしょうか? シラカシは陰樹とは呼ばれますが、さすがにあまり暗いと芽生えは死んでしまいます。ただ、森の中は均一に暗いわけではありません。枝が折れたり木がたおれたりすると、そこには陽が差し込みます。ここなら芽生えが育ちます。というわけで、芽生えの光要求性で分ける陽樹と陰樹という分け方の、「境界」もきっちり定めることができるわけではありません。

 タケの光合成の論文をいくつか調べてみました。タケの地上部は数年生きますので、葉の寿命も数年です。中国の研究論文では、8月に測定したモウソウチクの葉の光合成は、1年目の若い葉で10〜11、3年目では6〜7µmol CO2 m–2 s–1程度と報告されています。単位は、葉1 m2あたり、1秒あたりの、 CO2固定量(µmol=10−6 mol)です。これも中国からの報告ですが、マダケ属のヒメハチクで秋に16〜18 µmol CO2 m–2 s–1という値が得られています。ローマの植物園でモウソウチクを測定した例では、夏は地中海性気候の乾燥のため気孔が閉じ気味のようですが、9月、10月には16 µmol CO2 m–2 s–1を記録しています。上記のヒメハチクやローマで得られたモウソウチクの光合成速度は、明るいところを好む先駆樹種などに匹敵し、一般的に10 µmol CO2 m–2 s–1以下の常緑広葉樹よりも高いと言えます 。ちなみに肥料をよく与えたイネでは、30 µmol CO2 m–2 s–1以上、C4植物のトウモロコシでは40 µmol CO2 m–2 s–1程度です。

 タケの実生が暗いところで生きられるのか? という問題については、研究例を探せませんでした。花がめったに咲かないので無理もありません。 しかし、地下茎から生えてくるタケノコは、たくさん光合成産物がたまっている地下茎に繋がっているので、暗くても問題なく大きくなります。

以上




寺島 一郎(東京大学大学院理学系研究科)
JSPPサイエンスアドバイザー
櫻井 英博
回答日:2018-05-04
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