質問者:
高校生
アコ
登録番号4070
登録日:2018-04-20
初めてトウモロコシを育てています。資料を調べてみるとトウモロコシはたくさん肥料を吸収する植物だとあります。なぜ肥料をたくさん吸収するのでしょうか。その仕組みや理由がよくわかりません。また肥料のように水もたくさん吸収するのでしょうか。これにはイネ科やC4植物であることも関係するのでしょうか。ぜひ分かりやすく教えてください。
みんなのひろば
トウモロコシの肥料と水の吸収について
アコ さん
ご質問をありがとうございます。
トウモロコシは短期間に大きく生長する植物ですので、観察が楽しみですね。回答に先立って背景の説明をさせていただきます。植物の生長には、太陽からの光エネルギーと大気からの二酸化炭素に加え、根から吸収される水と窒素など多種類の無機化合物の供給が必要で、これらが土壌に不足している場合には肥料として施してやる必要があります。植物の生命活動における水の役割は重大です。水は、有機化合物の合成に不可欠な電子の供与体として光合成エネルギー変換反応に関わり、植物体を構成し、体内で進行する物質代謝の諸反応において反応分子として関与し、また、溶媒としてその反応の場を形成します。更に、根で吸収されて気孔などからの蒸散で失われて行く一連の過程で、栄養成分などの輸送媒体として機能し、また、蒸散に伴う気化熱の吸収により植物体における代謝活性の安定性に寄与するなど、多方面にわたる重要な機能を担っております。ところで、蒸散により失われる水の量は、植物の種類や生育段階、気温や湿度などの環境条件により大きく異なりますが、多い場合には一日分で植物体を構成している分量をしのぐほどに達する場合があると見積もられています。以上の解説を「栄養分として根から吸収される無機化合物(肥料)の大部分は構成成分として植物体に蓄積し、吸収される水の大部分は気孔などを通して体外に放出される」と、本質問に関連づけて要約させていただきます。
さて、トウモロコシのように植物体が大きく育つ場合には、体構成の素材となる物質(二酸化炭素や肥料など)の大量の吸収が必要となります。ただし、生産される植物体の重量当たりで比較した場合、トウモロコシが他の植物に比べて特にたくさんの肥料を吸収すると言うわけではありません。一方、トウモロコシの早い生長を可能にしているのは高い光合成活性で、これを可能にする要因の一つは肥料の吸収と言うことになります。C4植物であるトウモロコシは、比較的には強光・高温・乾燥の下でも高い光合成活性を維持することが可能で、これを支える肥料の吸収力は強いようです。このため、土壌中に過剰に蓄積した養分を除去する「クリーニングクロップ」としてトウモロコシを輪作に利用する農法があるようです。トウモロコシは生育環境として比較的乾燥した土壌を好み、この条件に耐えるように蒸散の活性は比較的低く抑えられているようです。それでも、大きく育った植物体の蒸散の規模は大きなものとなるので、栽培に用いる土壌その他の条件によっては給水に気を付ける必要があるものと思われます。問題のトウモロコシはどのような土壌条件で栽培されているのでしょうか?
ご質問をありがとうございます。
トウモロコシは短期間に大きく生長する植物ですので、観察が楽しみですね。回答に先立って背景の説明をさせていただきます。植物の生長には、太陽からの光エネルギーと大気からの二酸化炭素に加え、根から吸収される水と窒素など多種類の無機化合物の供給が必要で、これらが土壌に不足している場合には肥料として施してやる必要があります。植物の生命活動における水の役割は重大です。水は、有機化合物の合成に不可欠な電子の供与体として光合成エネルギー変換反応に関わり、植物体を構成し、体内で進行する物質代謝の諸反応において反応分子として関与し、また、溶媒としてその反応の場を形成します。更に、根で吸収されて気孔などからの蒸散で失われて行く一連の過程で、栄養成分などの輸送媒体として機能し、また、蒸散に伴う気化熱の吸収により植物体における代謝活性の安定性に寄与するなど、多方面にわたる重要な機能を担っております。ところで、蒸散により失われる水の量は、植物の種類や生育段階、気温や湿度などの環境条件により大きく異なりますが、多い場合には一日分で植物体を構成している分量をしのぐほどに達する場合があると見積もられています。以上の解説を「栄養分として根から吸収される無機化合物(肥料)の大部分は構成成分として植物体に蓄積し、吸収される水の大部分は気孔などを通して体外に放出される」と、本質問に関連づけて要約させていただきます。
さて、トウモロコシのように植物体が大きく育つ場合には、体構成の素材となる物質(二酸化炭素や肥料など)の大量の吸収が必要となります。ただし、生産される植物体の重量当たりで比較した場合、トウモロコシが他の植物に比べて特にたくさんの肥料を吸収すると言うわけではありません。一方、トウモロコシの早い生長を可能にしているのは高い光合成活性で、これを可能にする要因の一つは肥料の吸収と言うことになります。C4植物であるトウモロコシは、比較的には強光・高温・乾燥の下でも高い光合成活性を維持することが可能で、これを支える肥料の吸収力は強いようです。このため、土壌中に過剰に蓄積した養分を除去する「クリーニングクロップ」としてトウモロコシを輪作に利用する農法があるようです。トウモロコシは生育環境として比較的乾燥した土壌を好み、この条件に耐えるように蒸散の活性は比較的低く抑えられているようです。それでも、大きく育った植物体の蒸散の規模は大きなものとなるので、栽培に用いる土壌その他の条件によっては給水に気を付ける必要があるものと思われます。問題のトウモロコシはどのような土壌条件で栽培されているのでしょうか?
佐藤 公行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2018-04-26