質問者:
中学生
きのこ
登録番号4074
登録日:2018-04-21
アジサイの花(がく)が、土壌PHによって色が変わると知りました。アジサイの他にも土壌PHにより花の色が変わるような植物があるのか知りたく思い、質問しました。よろしくお願いします。
アジサイの他に、土壌PHにより植物の色が変わるものはありますか?
きのこ さま
本コーナーのご利用有り難うございました。
ご質問は、花の色素とpHの関係に関して詳しい名古屋大学 吉田久美先生にご回答頂きました。
【吉田先生のご回答】
ご質問をありがとうござます。
私、花の色の化学研究者ではありますが、植物学や土壌学の専門家ではないためきちんと的確にはお応えできませんこと、最初にお断りいたします。
花の色の変わる要因は沢山あります。その中で、土壌のpHにより影響されるものは、多くはありません。通常、生物は「生体恒常性」という重要な性質、状態を保っており、これは、外界の変化に関わらず、生体内は一定の状態を保つというものです。従って土壌pHの変化というものも、ある種の外界の環境の変化であり、それに即応して植物が何らか急に変化するということも起きにくいのです。
アジサイの花色変化は有名な事例です。これは酸性土壌で土中のアルミニウムイオンが水溶性となり、根から吸収されるようになるためです。アジサイの青色発色には、アルミニウムイオンが必須のため、それが溶けずに吸収できない中性や塩基性の土壌では青くなりません。
これとは別に、ヤグルマギクやネモフィラ、ヒマラヤの青いケシの青色は、鉄イオンが必須です。鉄イオンはアルカリ性土壌では水に溶けなくなるため、鉄欠乏状態になります。ただし、鉄イオンは花の青色発色のためのみならず、生きていくために不可欠の元素ですから、アルカリ性土壌にある植物は、花が咲くより前に植物がダメージを受けて育たない場合も多いです。残念ながら、ヤグルマギク、ネモフィラ、ヒマラヤの青いケシをアルカリ土壌に植えたことが無いので、明確にはお答えできません。
そこまで極端な事例でなくとも、先のヤグルマギクやネモフィラなどの花は、花期が比較的長く、おしまいの頃には、赤っぽくなる場合も見受けられます。きちんと分析したことは無いのですが、多分、鉄が若干欠乏状態になっているためと推定しています。これは土壌pHの変化によるものではなく、土中から鉄が吸収され続けた結果、足りなくなってきたためでしょうが。
本コーナーのご利用有り難うございました。
ご質問は、花の色素とpHの関係に関して詳しい名古屋大学 吉田久美先生にご回答頂きました。
【吉田先生のご回答】
ご質問をありがとうござます。
私、花の色の化学研究者ではありますが、植物学や土壌学の専門家ではないためきちんと的確にはお応えできませんこと、最初にお断りいたします。
花の色の変わる要因は沢山あります。その中で、土壌のpHにより影響されるものは、多くはありません。通常、生物は「生体恒常性」という重要な性質、状態を保っており、これは、外界の変化に関わらず、生体内は一定の状態を保つというものです。従って土壌pHの変化というものも、ある種の外界の環境の変化であり、それに即応して植物が何らか急に変化するということも起きにくいのです。
アジサイの花色変化は有名な事例です。これは酸性土壌で土中のアルミニウムイオンが水溶性となり、根から吸収されるようになるためです。アジサイの青色発色には、アルミニウムイオンが必須のため、それが溶けずに吸収できない中性や塩基性の土壌では青くなりません。
これとは別に、ヤグルマギクやネモフィラ、ヒマラヤの青いケシの青色は、鉄イオンが必須です。鉄イオンはアルカリ性土壌では水に溶けなくなるため、鉄欠乏状態になります。ただし、鉄イオンは花の青色発色のためのみならず、生きていくために不可欠の元素ですから、アルカリ性土壌にある植物は、花が咲くより前に植物がダメージを受けて育たない場合も多いです。残念ながら、ヤグルマギク、ネモフィラ、ヒマラヤの青いケシをアルカリ土壌に植えたことが無いので、明確にはお答えできません。
そこまで極端な事例でなくとも、先のヤグルマギクやネモフィラなどの花は、花期が比較的長く、おしまいの頃には、赤っぽくなる場合も見受けられます。きちんと分析したことは無いのですが、多分、鉄が若干欠乏状態になっているためと推定しています。これは土壌pHの変化によるものではなく、土中から鉄が吸収され続けた結果、足りなくなってきたためでしょうが。
吉田 久美(名古屋大学)
JSPP広報委員長
木下 哲
回答日:2018-04-28
木下 哲
回答日:2018-04-28