一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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イヌコハコベ

質問者:   高校生   ことみ
登録番号4098   登録日:2018-05-08
先日家の近所で小さいハコベによく似た植物を見つけました。調べると、イヌハコベという植物らしいのですが、食べても大丈夫でしょうか?

調べても意見がわかれていて不安で………。

ことみ様

みんなのひろばの植物Q&Aをご利用下さりありがとうございます。

 イヌコハコベ (Stellaria pallida) は、ヨーロッパ原産のナデシコ科の植物ですが、1970年頃に日本に入ってきて、全国に分布を広げている帰化植物です。コハコベ(ハコベ)とは、花弁がない、染色体数が異なる、種子が小さい、萼の基部が紫色になることがある、などの違いがありますが、生えている場所や形状が似ているので気が付かないことが多いように思います。ハコベは春の七草で知られているように、古くから食べられてきました。ハコベ属の多くの植物で、若い茎葉は食べられると言われており、イヌハコベも食べられるという記載があります。

 しかし、食べられるかどうかという問題の答えは簡単なようで、難しいところがあります。例えば、アカザという野草は栄養豊富で食べられのですが、大量に継続して食べると中毒症状をおこしたり、食べて日光に当たると紅疹がでたりすることが知られています。私も第二次大戦後、よく食べましたが、私が採取してきた程度の量では問題ありませんでした。人間に対してではありませんが、ハコベでも大量に食べた家畜に害がでたという論文があります。このように食べる頻度や量が問題になる場合もあります。その他、アレルギー反応を起こすことがあるかどうか、単独では問題なくても他の食物との食べ合わせでどうかなどといった問題もありそうです。

 一方、そのままでは食べられないものでも、渋抜きや解毒処理すれば食べられるものや、有毒部位を除いたり、有毒時期を外して採取したりすれば食べられるというものもあります。

 野草の場合、特に広く食用に用いられていない植物の場合には、このような情報が欠けているということを留意する必要があります。イヌコハコベの場合も、私が調べた限りでは問題を生じたという記載はみつかりませんでしたが、実際に問題がないのか、単にそれほど調べられていないためなのかはわかりません。



庄野 邦彦(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2018-05-23
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