一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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斑が無くなっていく原因は

質問者:   公務員   鍋のこげめし
登録番号4099   登録日:2018-05-09
20年ほど前に購入した斑入りのクチナシですが成長するにしたがってだんだん斑が無くなっていきます。
同じ枝でも斑が入っている部分と入っていない部分があります。
鍋のこげめし 様

本コーナーをご利用下さりありがとうございます。ご質問には斑入りに関する研究を進めておられる岡山大学の坂本 亘先生から下記の回答文をいただきました。ご参考になさって下さい。

【坂本先生からのご回答】
クチナシに限らず、斑入りは美しいですね。観葉植物でもきれいな斑入りの葉はきれいで私も大好きです。でもおっしゃる通りで、例えば、ポトスを栽培していて、しばらくすると斑がだんだんなくなってしまうことはよく経験しますね。これらを説明できる明快な理由を私も持っていないのですが、もしかしたら、ということで考えて見ます。

私の研究室では、シロイヌナズナというモデル植物で葉が斑入りになる突然変異体を作り、その原因などを遺伝子として解析していました。研究の中で1つ試したことは、この斑入りが元に戻る突然変異(斑返り)を作って解析することで、私たちも含めアメリカや中国の研究室で斑返りの変異を集めてみると、葉緑体の正常な分化を少しだけ遅らせる変異で斑入りが回復することがわかってきました。葉緑体の分化が遅れると、植物の成長も少し悪くなりますが、斑が回復します。この結果を少し拡張して「鍋のこげめし」さんの質問に当てはめてみると、もしかすると、クチナシの木の成長そのものが何らかの理由で悪くなっていて、それで斑が戻る傾向にあるのかもしれません。

例えば、育てているのはポットでしょうか。ポット栽培で養分が限られてくると、成長が変わらないように見えるけれど、育ちが悪くなって斑入りを回復しているのかもしれませんね。ポットでなくて、庭木であっても、日当たりとか、一部の枝には養分が行かずに斑入りとそうでないところが出ているのかもしれません。これはあくまで憶測ですが。もう一つ考えられるのは「枝変わり」で、同じ個体での遺伝子の構成が変わって斑入りになったりならかったりする可能性もありますが、成長に従って斑入りが弱くなるようなら、こちらではなさそうです。ということで、実験をおすすめするような回答ですが、土を入れ替えたり、少しだけ施肥をして観察してみたら、変化があるかもしれませんね。


坂本 亘(岡山大学資源植物科学研究所)
JSPPサイエンスアドバイザー
佐藤 公行
回答日:2018-05-14
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