一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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サクランボの色

質問者:   公務員   キム
登録番号4104   登録日:2018-05-17
青森県に住んでいます。りんごに袋を被せて育てると真っ白くなります。そこでサクランボの幼果に袋を被せてたら白いサクランボになるかと思ったら、なんときれいな山吹色になりました。同じ果実なのになぜりんごは遮光すると白くなり、サクランボは黄色になるのでしょうか。色素の違いだと思いますが、不思議でなりません。ぜひわかりやすく仕組みを教えてください。
キム様

みんなのひろばの植物Q&Aをご利用下さりありがとうございます。
回答は、以前、果樹研究所におられ、リンゴの着色について研究されておられた本多先生にお願いしました。とてもわかり易く解説して下さいました。

【本多先生の回答】
袋を開けてみたら予想に反して黄色いサクランボが出てきたので、さぞかし驚かれたことでしょう。

リンゴでは、完全遮光によって、果皮の細胞で赤い色素の基になるアントシアニンが作られなくなり、果実が白く見えるようになります。通常のリンゴでは、光が当たっても当たらなくても、中の果肉は白いか、ほんの少し黄色くなる程度です。

日本で栽培されているタイプのオウトウ(サクランボ)では、リンゴと同様に、完全遮光により果皮ではアントシアニンが作られなくなります。一方、果肉では、リンゴと違って、光の照射にかかわらず、カロテノイド色素がはっきり黄色いと認識される量まで作られるものと推測されます。

普段は、果皮の赤さに隠れて果肉が黄色いことに気が付きにくくなっているだけであって、遮光したオウトウの果実では、赤く着色していない果皮の下に黄色い果肉が透けて見えるので、まるで果実全体が黄色くなったように感じるのでしょう。

ポイントは、オウトウでは果肉でのカロテノイドの生合成に光は不要ということになるかと思います。


本多 親子(東京大学大学院農学生命科学研究科)
JSPPサイエンスアドバイザー
庄野 邦彦
回答日:2018-05-30
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