一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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植物の分類と根の種類について

質問者:   教員   hammar
登録番号4107   登録日:2018-05-18
いつもお世話になっております。
中学生の教科書レベルでは、『被子植物は双子葉類と単子葉類に分類されると』いう、少しばかり古い内容なので、教える側としてはそこまで専門性を求められることはありません。(いつか改定される可能性も否定できませんが…)
それでもAPG体系に関する記述などを読んでおりますと、まだまだ未確定な部分も多いとはいえ、原始的な双子葉類から単子葉類が分岐して出現したことなど、授業で扱う・扱わないに関わらず、バックグラウンドの知識として知っておくべき内容の多さに驚かされます。
そこで不思議に思うのが、『維管束を分散させて形成層を捨てた』ことと、『主根と側根という仕組みをすててひげ根に移行したこと』に、どのような意味があったのか…ということです。
進化には必ず意味があるとする前提や決めつけは好きではありませんが、仮説でも構いませんのでご教授いただければ幸いです。
よろしくお願いいたします。
hammar さま

本コーナーをご活用頂き有り難うございます。
ご質問は、基礎生物学研究所の長谷部先生からご回答を頂きました。

【長谷部先生のご回答】
 抱負なバックグラウンドのもと、ご指導されようとするhammarさんの姿勢に心より敬意を表します。私が高校の頃、植物のことを何でも知っていた生物の先生に、双子葉植物と単子葉植物のどちらが祖先に近いのですかと聞きに行ったら、「よくわかっていないんだよ」と言われ、「先生でも知らないことがあるんだ」と気づいたのが、研究者になるきっかけの一つでした。
 という前振りからすでにご推察かもしれませんが、ご質問の内容は答えがわかっていません。
 単子葉植物もいろいろな形態をしたものがありますので、単子葉植物に共通の性質(例えば分散維管束、形成層ができない、主根があまり発達しない、茎からの不定根が多い、単子葉であること)が全ての単子葉植物に適応的であることは無いのではないかと思います。形態が進化するときには、適応的である場合もあるのですが、どう適応的かわからないのに、どういうわけか保存されている形態というのが多々あります。単子葉植物のこれらの性質はまさにそういう例かなと思います。
 hammarさんの教え子さんの誰かがこの問題を解いてくれるのを期待しています。


長谷部 光泰(基礎生物学研究所)
JSPP広報委員長
木下 哲
回答日:2018-06-02
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