一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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ヒノキの葉の裏表

質問者:   自営業   ヤマグルマ
登録番号4113   登録日:2018-05-23
植物の一般的な葉は、葉表で光合成をして、葉裏の気孔から
蒸散や二酸化炭素を取り入れ、光合成で余分な酸素を吐き出している。
そこで質問ですが
1、ヒノキの葉はどれが一枚の葉なのか
2、ヒノキの葉の裏表はあるのか
   以上2点を教えていただきたい。
ヤグルマ 様

ご質問をありがとうございます。
質問(1)への大変詳しい回答文が既に本コーナーに掲載されておりますので、お読みください(登録番号3656-針葉樹の葉の定義)。要するに、扁平な鱗片葉の一枚一枚が葉(単葉)に相当し、葉序としては交互に対生する十字対生の形をとっております。
質問(2)に関してですが、扁平なそれぞれの単葉には、当然、体制に基づく「向軸面」と「背軸面」の関係(すなわち、背腹性)が存在します。これとは別に、分岐する枝に貼りついた形で単葉群が配置されているヒノキの葉状構造体においては、典型的な葉の場合に似て、照射される太陽光を受けとりやすい表面と受けとり難い裏面が区別されます。表面側が光合成色素に富んでいて濃緑色を呈し、また、ワックスが存在するため光沢性に富んでいるのに対し、裏面側は色素が少なく淡緑色の色彩を呈しています。更に、裏面側では、鱗片葉が接するところに線状に白い気孔帯が分布しているのが特徴的です(白色の模様はY字形)。なお、気孔帯については、本コーナーのQ/A(登録番号1964-針葉樹の気孔帯)をご参照ください。ルーペとピンセットを用意し、観察して見られることをおすすめします。


佐藤 公行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2018-05-27