一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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植物の根について

質問者:   中学生   Ayaya
登録番号4124   登録日:2018-06-03
休みの日に草刈りをしました 母にまた出てきちゃうから、根っこまでとるようにいわれたけれど、根っこだけで、また、芽をだせるのでしょうか?どのような働きなのでしょうか? おもしろいので、タンポポを今、集めています 根を切らないように掘り起こすのが大変です 結構長くてビックリしました そしたら、草刈りをしていた抜きやすかったのは細い根っこが大量にだったと思い出しました 太くて、長いタンポポ、細く大量の根の植物、根の形がちがうのには理由があるのでしょうか? よろしくお願いします
Ayaya さん

みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。今の時期からしばらくは庭や畑の草取りが大仕事になりますね。
さて根に関するご質問は今までにも沢山頂いています。このコーナーで「根系」をキーワードとして検索しますとたくさんの項目が出てきます。それらもご参考になさってください。
根は地中にあって水と栄養分を吸収すると共に地上部をしっかり支える働きがあります。種子が発芽するときほとんどの種子はまず根が出始め、少し遅れて茎葉が顔を出します。種子から出る根は、ほとんどの双子葉類では一本で地中に真っ直ぐ伸び始めます。この根を主根と言いますが、次第に主根から側根が出てきます。側根はさらに側根を出して行きますが、このとき主根が比較的早く成長を止めてしまって、全体の根は一次側根、二次側根、三次側根・・・とからなる根の塊(根系と言います)をつくる型(ホウレンソウ、コマツナなど)と、主根の成長が長く続き地中深く潜り込み、側根は細く少ない型(タンポポ、ゴボウ、ダイコン、ニンジンなど、カタバミもこれだと思いますが)とがあります。どちらも主根が中心となって根茎ができあがるので主根型と呼んでいます。一方、多くの単子葉類では主根の成長は早くに止まり、茎の基部周囲から根が出来はじめます。茎から出る根なので不定根で、ひげ根型と呼びます。タケ、トウモロコシ、イネ、ムギ、シバなどは茎の基からひげ根が四方に広がって生長します。これらの違いは、種の違いと同じように進化によって多様化したもので、遺伝的に決められています。
主根型のうち地中深く根がもぐっているものは引き抜くのがたいへんですね。主根型でもひげ根型でも根系が大きく張っているものでは、地上部(茎葉)だけをむしり取り、根が残っていると再び茎葉部が出てきます。地上部をむしり取っても、茎葉部が少し残って根と繋がっているのが普通です。茎と葉の分かれ目には必ず脇芽があります。脇芽は葉や茎が正常ならば発芽成長しませんが、上の茎が切り取られると成長を始める性質があります。また、一般に根の再生力は強く、地上部が完全に除かれても、残った根から茎葉部が再生するものがあります。タンポポはその典型とも言え、根を短く切って植えても茎葉が出てきます。この方法で一本の根から個体を増やすことができます。このほか、匍匐茎と言って地面や地面のすぐ下を横に這うように伸びる植物(コニシキソウ、スベリヒユ、カタバミ、シバ、タケなど)、地下に芋状の根、茎があるもの(イモカタバミ)などは、目に見える大きな部分を根ごととったとしても、匍匐茎の一部や芋が残るのでまたそこから生えてきます。庭や畑に生える草の生命力は大きなものです。草取りをしながら、いろいろ試して、観察して下さい。


今関 英雅(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2018-06-04