質問者:
自営業
いそぎんちゃん
登録番号4137
登録日:2018-06-13
よく「ネコのユリ中毒」ということが、ちまたでいわれています。球根には、毒性がある種類もある、と、きいたことはあるのですが、花や、茎、葉などをネコや、犬が食してしまうと本当に、危険な物なのでしょうか。花粉が猫の顔についてしまったと、救急病院へ駆け込む例があるのですが、それほど毒性が強いものなのでしょうか。
ユリ中毒について
いそぎんちゃんさん
植物 Q&A「みんなの広場」へようこそ。質問を歓迎します。
質問を頂くまでは、ユリがネコに対して毒性を持つとは知りませんでした。
内外のインターネットサイトで調べると「ユリはネコに対して猛毒がある」といったページがたくさん出てきます。
ある専門家の英文総説(2010年)を要約し、補足すると次のようになります。
1. ユリがネコに対して有毒であることが知られるようになったのは比較的最近であり、1990年代からである。毒性はネコに対して顕著で、しばしば急性腎臓障害が見られる。ネコと比較してイヌに対する毒性ははるかに低い。
2. ユリ(lily)といってもユリ科には多くの属があるオニユリ、テッポウユリなどの他に、スズラン、スイセン、ヒヤシンス、タマネギなども同じ科に含まれる(分類系統上の分類法により異なるが)。毒性が高い種もあればほとんどないものもあるが、どれが有害かどうかは十分に明らかになっているわけではない。更にややこしいことに、園芸品種の中には種を超えた交配種もある。
3. 有毒な種、品種では、葉、花弁のほか花粉なども有害である。
4. 有毒物質は同定されていない。
農水省農研機構動物衛生研究部門にインターネットで問い合わせたところ次のようなお答えをいただきました。(参考文献も教えていただきましたが省略)
(要約)「ユリの仲間(ユリ属)は、人では根茎を食用にするのに、猫に対しては強い毒性をもち、全草に毒性があって花粉によって中毒をおこした例も実際にあるようです。毒性物質は特定されていません。これまでユリ科とされてきた多くの植物にも毒性があるものがありますが、猫に特定したものではありません(スズラン、バイケイソウ、スイセン、グロリオサなど)。
猫のユリ中毒の標的臓器は腎臓であり、臨床症状としては急性腎不全に関連した所見(下痢、嘔吐、食欲不振、過剰流涎、沈うつ、運動失調など)がみられるようです。」
「私の結論」これらの情報をもとに考えますと、状況はフグに似ていると考えられます。フグの仲間のあるものは有毒物質を含むことが知られているが、食用にされているものもあります。毒性の強さは種、体の部位、海域、季節等によりさまざまであるが、安全性が確かなもの以外は食用を控えるのが賢明でしょう。「ユリ」の場合も、安全が確認されたもの以外は、ネコが接触しないようにするのがいいと思われます。
植物 Q&A「みんなの広場」へようこそ。質問を歓迎します。
質問を頂くまでは、ユリがネコに対して毒性を持つとは知りませんでした。
内外のインターネットサイトで調べると「ユリはネコに対して猛毒がある」といったページがたくさん出てきます。
ある専門家の英文総説(2010年)を要約し、補足すると次のようになります。
1. ユリがネコに対して有毒であることが知られるようになったのは比較的最近であり、1990年代からである。毒性はネコに対して顕著で、しばしば急性腎臓障害が見られる。ネコと比較してイヌに対する毒性ははるかに低い。
2. ユリ(lily)といってもユリ科には多くの属があるオニユリ、テッポウユリなどの他に、スズラン、スイセン、ヒヤシンス、タマネギなども同じ科に含まれる(分類系統上の分類法により異なるが)。毒性が高い種もあればほとんどないものもあるが、どれが有害かどうかは十分に明らかになっているわけではない。更にややこしいことに、園芸品種の中には種を超えた交配種もある。
3. 有毒な種、品種では、葉、花弁のほか花粉なども有害である。
4. 有毒物質は同定されていない。
農水省農研機構動物衛生研究部門にインターネットで問い合わせたところ次のようなお答えをいただきました。(参考文献も教えていただきましたが省略)
(要約)「ユリの仲間(ユリ属)は、人では根茎を食用にするのに、猫に対しては強い毒性をもち、全草に毒性があって花粉によって中毒をおこした例も実際にあるようです。毒性物質は特定されていません。これまでユリ科とされてきた多くの植物にも毒性があるものがありますが、猫に特定したものではありません(スズラン、バイケイソウ、スイセン、グロリオサなど)。
猫のユリ中毒の標的臓器は腎臓であり、臨床症状としては急性腎不全に関連した所見(下痢、嘔吐、食欲不振、過剰流涎、沈うつ、運動失調など)がみられるようです。」
「私の結論」これらの情報をもとに考えますと、状況はフグに似ていると考えられます。フグの仲間のあるものは有毒物質を含むことが知られているが、食用にされているものもあります。毒性の強さは種、体の部位、海域、季節等によりさまざまであるが、安全性が確かなもの以外は食用を控えるのが賢明でしょう。「ユリ」の場合も、安全が確認されたもの以外は、ネコが接触しないようにするのがいいと思われます。
櫻井 英博(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2018-06-25