質問者:
会社員
fieldman
登録番号4149
登録日:2018-06-27
野菜が花芽分化するには、日長や温度が関与して、花成促進遺伝子が働きだす必要があると書いてる本がありました。野菜の花芽分化
経験的に環境条件が悪くなると、早く花芽が出来たり、花数も増える様な気がします。これはどのような仕組みで花芽が出来るのでしょうか?
fieldman 様
みんなのひろばの植物Q&Aをご利用下さりありがとうございます。
回答は、花の形態形成について研究されている後藤弘爾先生にお願い致しました。
【後藤先生の回答】
植物の花芽分化については、シロイヌナズナやイネなどを用いた研究から、近年多くのことが分かってきました。研究材料としてよく用いられている植物をモデル植物といいますが、モデル植物で明らかにされたことは、他の多くの植物でも成り立つことが分かっています。
シロイヌナズナの花芽分化は、日長、温度、植物ホルモンのジベレリンなどが関与して、花成促進遺伝子の発現を誘導します(働き出す、ということです)。この花成促進遺伝子はフロリゲン(花成ホルモン)の分子的な実体であるFTというタンパク質を作ります。(温度について、よく分かっているのは、冬の低温にさらされた後、春に花芽誘導が起きる、春化現象についてです。)日長や温度などの環境要因を植物が感受し、その信号が植物体内で処理されて、最終的に統合されてFTの発現誘導が起こり、花芽が誘導されるというのが、現在分かっている植物の花成経路です。
ご質問にあるように、環境条件の悪化によっても、花芽誘導される現象が知られています。乾燥、貧栄養、紫外線の照射など、いわゆるストレスを与える要因によって、花芽誘導が起こります。これらについては、「ストレス誘導(応答)花成」という名称で研究されていますが、FTの発現を誘導する場合(上記の花成経路に統合される場合)と、それとは別の経路による場合があると言われています。
植物は、環境がよいと栄養繁殖といって無性的にどんどん増えていきます。環境が悪くなり植物がストレスを感じると、新たな環境に適応して生き延びるために有性生殖をし、子孫(種子)を残そうとするのではないか、と考えられます。そのための仕組みとして、ストレス誘導花成が存在するのかも知れません。
なお、植物Q&A 登録番号0562, 1082, 1680, 1140, 1170, 1909, 2699 も参考になると思います。ご覧になって下さい。(庄野 邦彦)
みんなのひろばの植物Q&Aをご利用下さりありがとうございます。
回答は、花の形態形成について研究されている後藤弘爾先生にお願い致しました。
【後藤先生の回答】
植物の花芽分化については、シロイヌナズナやイネなどを用いた研究から、近年多くのことが分かってきました。研究材料としてよく用いられている植物をモデル植物といいますが、モデル植物で明らかにされたことは、他の多くの植物でも成り立つことが分かっています。
シロイヌナズナの花芽分化は、日長、温度、植物ホルモンのジベレリンなどが関与して、花成促進遺伝子の発現を誘導します(働き出す、ということです)。この花成促進遺伝子はフロリゲン(花成ホルモン)の分子的な実体であるFTというタンパク質を作ります。(温度について、よく分かっているのは、冬の低温にさらされた後、春に花芽誘導が起きる、春化現象についてです。)日長や温度などの環境要因を植物が感受し、その信号が植物体内で処理されて、最終的に統合されてFTの発現誘導が起こり、花芽が誘導されるというのが、現在分かっている植物の花成経路です。
ご質問にあるように、環境条件の悪化によっても、花芽誘導される現象が知られています。乾燥、貧栄養、紫外線の照射など、いわゆるストレスを与える要因によって、花芽誘導が起こります。これらについては、「ストレス誘導(応答)花成」という名称で研究されていますが、FTの発現を誘導する場合(上記の花成経路に統合される場合)と、それとは別の経路による場合があると言われています。
植物は、環境がよいと栄養繁殖といって無性的にどんどん増えていきます。環境が悪くなり植物がストレスを感じると、新たな環境に適応して生き延びるために有性生殖をし、子孫(種子)を残そうとするのではないか、と考えられます。そのための仕組みとして、ストレス誘導花成が存在するのかも知れません。
なお、植物Q&A 登録番号0562, 1082, 1680, 1140, 1170, 1909, 2699 も参考になると思います。ご覧になって下さい。(庄野 邦彦)
後藤 弘爾(岡山県農林水産総合センター生物科学研究所)
JSPPサイエンスアドバイザー
庄野 邦彦
回答日:2018-08-10
庄野 邦彦
回答日:2018-08-10