一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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じゃがいものストロンが出芽

質問者:   大学生   koutya
登録番号4154   登録日:2018-06-30
今年3月27日、ホームセンターで購入した通常の白い土嚢袋に、じゃがいも(品種:さやあかね)を1袋あたり3個(合計210g程度、浴光催芽済)を植え付けました。なお、栽培場所はベランダで、日照は6時間程度です。

また、深さ7センチの土壌の上にじゃがいもをおき、さらに5センチ覆土し、出芽後は土嚢袋がいっぱいになるまで(約25L)地上部が15~20センチ程度になるよう土寄せを行いました。出芽は4月5日、土寄せは4月15日から数センチずつです。

5月初旬、土嚢袋の側面から数本の茎が飛び出し、その他にも膨らみがありました。このときは種芋が大きかったせいで茎数が多かったのだろうと思い、抜き取りました。以降も側面からの出芽がありましたので、5月末から百均の雑草防除資材(土嚢袋を黒くしたものに近い)を側面に巻き付け、遮光しました。

6月30日に収穫作業を行いましたが、側面からはさらに数本が白いまま立ち上がるようにして出芽し、加えて枯れた茎葉の間から、新しく数本が出芽していました。

地下部を掘り出すと、主茎から伸びたストロンの先が出芽して葉を展開し、さらにストロンを伸ばして、それもまた多くが出芽していました。結果として、直径1~2センチのイモが数個採れましたが、これは主茎から伸びたストロンの、ストロンの先が太ったものでした。

ストロンの先がイモではなく茎葉に分化したことについて、イモへの分化の時期や重量屈性など、生理的な理由を教えてください。 

よろしくお願いします。

Koutya 様

質問コーナーへようこそ。歓迎いたします。回答が遅くなってしまいすみませんでした。回答はジャガイモの生理学に詳しい北海道大学大学院農学研究院基礎研究部門生物機能化学分野の松浦 英幸先生にお願いしました。簡単ですが以下のとおりです。

【松浦先生のご回答】
「遮光が甘いためにストロンから出芽してしまった可能性が大と思われます。
また、プランターとのことなので栽培に必要な土壌の量が基本的に少ないことも、要因と考えられます。
ストロンは、そもそも茎(地下茎)ですので、明るさを感じれば先端は葉に転じます。」

なお、ストロンの茎頂の塊茎形成誘導は地上部が短条件で起きるようですが、植物ホルモンやその他の調節物質の供給に関係しています。その他、栽培上の条件は栽培学などの参考文献をお調べください。農学部の学生さんなら、大学の図書館(室)へ行けば種々たくさんあると思います。


松浦 英幸(北海道大学大学院農学研究院)
JSPPサイエンスアドバイザー
勝見 允行
回答日:2018-07-19
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