植物Q&A

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3倍体彼岸花は減数分裂できるのでしょうか。

質問者:   一般   muchuan
登録番号4161   登録日:2018-07-09
日頃の疑問をいつも解決いただき感謝いたしております。

先回3倍体オニユリの結実について山岸真澄博士からご回答いただき、3倍体植物も減数分裂が可能だということをご教授いただき「目から鱗の感」がありました。

そこで再度の質問になりますが、3倍体の彼岸花(リコリス・ラジアータ)も同様に減数分裂が可能でしょうか?

彼岸花は種をつけないと言われていますが、最近の報告等を調べてみるとごく稀に種をつけ、またごく稀に発芽結実するとの報告も見られます。(殆どは彼岸花が2倍体のプミラの場合が多いようですが)

それはさておき九州地方で自然・自生が見られるシロバナヒガンバナ(アルビフローラ〜アルビピンク)はショウキズイセン(リコリス・トラウビ)と2倍体小彼岸花(ラジアータ・プミラ)との交雑種という説が有力のようですが九州地方に以前から2倍体彼岸花がたくさん見られたという報告はないように思います。

3倍体彼岸花が3倍体オニユリと同様に減数分裂が可能なら「♀ラジアータ×♂トラウビ」によりシロバナヒガンバナが出現した可能性があるのではないかと勝手な想像をしてみました。

バラエティ豊かなシロバナヒガンバナを見ると自生の数の多い両種の交雑の可能性の方がはるかにあるのではないかと思うのですが(あくまで3倍体の彼岸花が減数分裂可能という前提に立てば)。いかがでしょうか。



muchuan さん

みんなのひろば「植物 Q&A」へようこそ。質問を歓迎します。
この回答は、植物機能開発学が専門の山岸真澄博士(北海道大学大学院農学研究院)にお願いしました。

【山岸先生のご回答】
3倍体のヒガンバナは、頻度は低いものの種子をつけることがあり、ネット上でも話題になっているようですね。ですから減数分裂する可能性はあると思います。それを確かめるためには、子房親と花粉親が特定できる条件で交配を行い、得られた種子が両者の雑種になっていることを確かめる必要があります。植物の場合、アポミクシス(受精を伴わない種子生産)がおこり交雑しなくても種子が得られる場合があるからです(温州みかんなどカンキツ類の種子の多くがアポミクシス由来です)。さらに雑種になっていたとして、非還元配偶子(この場合は2n=3xの配偶子)が偶然できて交雑した可能性もありますので、得られた雑種の形質や染色体を観察する必要もあるでしょう。
 シロバナヒガンバナですが、登録番号3374で紹介されているように、ショウキズイセンとコヒガンバナの自然交雑からシロバナヒガンバナが生まれた説が有力なようです。ただ、由来が1つとは限りませんし、3倍体ヒガンバナとコヒガンバナは同じ種であることから性質が似ているはずなので、「3倍体ヒガンバナ×ショウキズイセン」の可能性も否定できないと思います。この仮説を確かめる方法のひとつに、この組合せで交雑を行ない、雑種がシロバナヒガンバナの特徴を持つことを示すことが考えられます。この方法は答えが出るまでに恐ろしく時間がかかるので、かなりチャレンジングですが、挑戦する価値はあると思います。高等植物の生殖や種子形成にはアポミクシスや非還元配偶子など不思議な現象が多く知られており、未知の現象もたくさんあると思われます。仮説を検討する中であっと驚く現象に出くわすかも知れません。



山岸 真澄(北海道大学大学院農学研究院)
JSPPサイエンスアドバイザー
櫻井 英博
回答日:2019-05-16
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