Bumblebee 様

みんなのひろばの植物Q&Aを利用下さりありがとうございます。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

花蜜を昆虫、鳥、コウモリなどが利用する際に花粉が付着して、他の花へ花粉が運ばれる(送粉)ことになります。花蜜を作るにはコストがかかります。訪花した昆虫、鳥などに送粉してもらえるメリットがなければ、無駄に花蜜を作るとは思えません。花蜜をつくるのは、基本的には虫媒花、鳥媒花、コウモリ媒花によると考えて良いと思います。
但し、蕾、葉柄、枝などに蜜腺があり（花外密腺）、蜜を分泌する植物があります。花外密腺は送粉には関与していませんが、蟻を誘引して、害虫による被害から守ってもらっているという考えもあります。

花蜜を分泌する密腺は、組織の中に一様に分布している場合と球状あるいは管状などの突起物を形成する場合があります。花蜜は通常透明ですので、水滴のように見えたり、ぬれているように見えたりしますが、見にくいとは思います。しかし、中には、ヤブガラシのように、蜜腺が濃赤色の花盤（子房の基部をとりかこむ構造）に一様に分布しており、そこに分泌された花蜜は、透明な水滴のようで見やすいというものもあります。ユキノシタでは花盤は黄色で、ヤブガラシの場合と同様に見やすいと思います。一方、構造を作る密腺を探すことで、そこで分泌される花蜜を見ようという試みもできると思います。、セイヨウアブラナの蜜腺は花弁と雄蕊の間に存在する緑色球状の構造です。つつじの花弁の１枚には斑点状の模様が入っています。蜜標というもので、送粉者を花蜜に導く指標となるもので、蜜標をたどって花の基部に入っていくと管状の構造をもつ蜜腺に行きつきます。　　　　　　　　　　　　　

花蜜の量や匂いなどの性質をいろいろな花で比較してみようという計画はおもしろいと思いましたが、なかなか難しいように思われます。鳥媒花で一日あたり数mlの蜜を分泌するということが書かれている本はありますが、日常見かける周辺の虫媒花植物で, 測れるほど蜜を溜める植物は少ないと思います。ユリ科植物では蜜腺は花弁や萼片の基部に分布していることがわかっており、大型の花をつけるものが多いので花蜜が溜まる可能性を考えました。しかし、質問内容で花蜜が確認できなかったとのことでしたので、私もユリのカサブランカ種で観察してみました。蟻が花の奥に入って行くので、蜜があるのだろうとは思うのですが、はっきり確認できるほどは溜まっておりませんでした。

蛾が送粉者である植物が、鳥媒花やコウモリ媒花植物に次いで分泌する花蜜量が多い傾向があるということですので、ハマオモト、マツヨイグサ、ラン科植物などが花蜜の観察に良いのではと考えています。特にラン科植物の花は長期にわたって咲き続きますので可能性があるのではと思います。

私はラン科植物のサギソウを育てているのですが、花弁のうち唇片という花弁の基部に距という管状の突起が生じます。内部には蜜腺があります。蕾のうちは中には蜜が溜まっていませんが、花が開き始めると蜜が溜まり始め、次第にその量が増えるのを透かしてみると外側から観察できます。ラン科植物が花蜜の観察に良いのではと考えた根拠です。サギソウは比較的小さな花ですので、１mlの注射器で測るのは無理ですがーーーー。同様に距という構造を持つ花はラン科植物以外にもいろいろあります。
ホウセンカなどでも観察できるとのではないでしょうか。

花蜜は花が開く時間帯に分泌されることが多いようです。ヨルガオ（普通、夕顔と呼ばれている植物）では、花の基部に蜜腺が分布しており、夕方花が開くのに伴って蜜の分泌が一気におこるという記載がありました。夕顔を育てていますので、確認しようと思いましたが、生憎、つぼみが途絶えてしまっていて確認できていません。近くに育てておられる方がいるようでしたら確認してみて下さい。