一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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銀杏の色について

質問者:   大学生   ももも
登録番号4258   登録日:2018-10-16
秋には銀杏を食べる季節になりました。
野生の銀杏をたまに食べるのですが、黄色や緑色のものがあります。
また、加熱すると黄色い銀杏が翡翠色?になったりします。
この銀杏の色の違いはなんでしょうか。クロロフィルかと考えたのですが、普通に加熱するとどちらかと言うと汚い緑色に変色するのでおかしいなと思いました。
回答よろしくお願いします。
ももも さん:

みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
完熟した銀杏の胚乳(食べる部分)は新鮮であれば薄緑色をしています。この緑色の原因はクロロフィルです。しかし、収穫後は殻付きで保存しても常温に置くと短期間のうちに黄色に褪色する傾向にあります。未熟な段階では着色していませんが種子形成のいつ頃緑色に着色し始めるかははっきりしません。市販されているもの、あるいは街路樹から採取したものの銀杏は外見そろっていても発達(成熟)段階が同じではなく中には着色以前の種子も混ざってきます。そのため、クロロフィル量の違いが色の違いと見られます。
次に、加熱すると緑色が鮮やかになることは緑色野菜でも観察されているものです。生の組織間、細胞間には微細な空気が入っているためクロロフィルの色が濁って見える傾向にあります。加熱すると空気が抜け出します。冷えると空気間隙が縮小して組織、細胞が密着するため色が鮮やか、時には濃く見えるようになります。生で黄色に見えていてもクロロフィルがある程度あれば加熱によって薄緑に見えてくることになるかもしれません。しかし、加熱を続けると死んだ細胞の内容物(ふつう微酸性)との作用でクロロフィルのMgがはずれ、黄褐色のフェオフィチンとなります。茶碗蒸しや焼いた銀杏の串刺しでは、銀杏の緑色は褪色していますね。


今関 英雅(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2018-10-23
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