質問者:
公務員
yuki
登録番号4269
登録日:2018-11-02
葉の気孔から取り込まれた二酸化炭素は、光合成で糖やデンプンになると思うのですが。みんなのひろば
光合成で取り込んだ二酸化炭素
取り込まれた二酸化炭素はすべて同化されるのでしょうか。 言い方を変えると同化される分だけ取り込むのでしょうか。
また、二酸化炭素の状態で葉の中にとどまっていることもあるのでしょうか。
よろしくお願いします
Yuki 様
このコーナーをご利用下さりありがとうございます。
光合成における有機物合成の素材となる二酸化炭素の供給は、物質の輸送・濃縮・貯蔵などの視点で論じられることになりますが、その事情は水中で生活するシアノバクテリアや藻類の場合と陸上で生物する植物の場合ではかなり異なりますので、ここでは陸上植物の場合を中心にして説明させていただきます。
気孔から植物体内に入って来る二酸化炭素は、先ずは細胞の隙間を流れて個々の細胞の内部に浸透し、次いで細胞内の小器官である葉緑体のストロマ空間に達して、「ルビスコ(Rubisco: ribulose 1,5-bisphosphate carboxylase/oxygenase)」と呼ばれる酵素の反応基質として利用されることによって有機物に変換されます。この一連の過程においては、細胞壁・細胞膜・葉緑体包膜などの物理的障壁を通過する必要があり(壁や膜の通過)、細胞質やストロマ基質などの水性の媒体をも通過することになります。化学的に見ると、二酸化炭素は、水には溶けにくい気体分子(CO2)の状態であったり、水溶性の重炭酸イオン(HCO3-)の状態であったりと、媒質条件によって形態が変換されます。
したがって、詳しくは上記の諸局面について考察する必要がありますが、全体として見た場合には、二酸化炭素は大気中に存在する状態から葉緑体ストロマに在ってルビスコに利用される状態に至る経路で平衡(つりあい)関係にあると言えるので、「同化されるだけ大気中から流れ込む」と表現しても良いでしょう。上に述べたような途中の過程はこの平衡に向かっての流れに対する「抵抗」として作用していることになり、抵抗の一番大きい要素は気孔の閉鎖であると言えます。
二酸化炭素の貯蔵に関して言えば、一例ですが、サボテンなどの多肉植物(CAM光合成生物)の場合、夜間に二酸化炭素は気孔から植物体内に取り込まれてリンゴ酸などの有機酸の形に化学変化することで貯蔵され、太陽エネルギーが供給される昼間には有機酸が再び二酸化炭素に変換されてルビスコによって光合成に利用される仕組みになっております。
このコーナーをご利用下さりありがとうございます。
光合成における有機物合成の素材となる二酸化炭素の供給は、物質の輸送・濃縮・貯蔵などの視点で論じられることになりますが、その事情は水中で生活するシアノバクテリアや藻類の場合と陸上で生物する植物の場合ではかなり異なりますので、ここでは陸上植物の場合を中心にして説明させていただきます。
気孔から植物体内に入って来る二酸化炭素は、先ずは細胞の隙間を流れて個々の細胞の内部に浸透し、次いで細胞内の小器官である葉緑体のストロマ空間に達して、「ルビスコ(Rubisco: ribulose 1,5-bisphosphate carboxylase/oxygenase)」と呼ばれる酵素の反応基質として利用されることによって有機物に変換されます。この一連の過程においては、細胞壁・細胞膜・葉緑体包膜などの物理的障壁を通過する必要があり(壁や膜の通過)、細胞質やストロマ基質などの水性の媒体をも通過することになります。化学的に見ると、二酸化炭素は、水には溶けにくい気体分子(CO2)の状態であったり、水溶性の重炭酸イオン(HCO3-)の状態であったりと、媒質条件によって形態が変換されます。
したがって、詳しくは上記の諸局面について考察する必要がありますが、全体として見た場合には、二酸化炭素は大気中に存在する状態から葉緑体ストロマに在ってルビスコに利用される状態に至る経路で平衡(つりあい)関係にあると言えるので、「同化されるだけ大気中から流れ込む」と表現しても良いでしょう。上に述べたような途中の過程はこの平衡に向かっての流れに対する「抵抗」として作用していることになり、抵抗の一番大きい要素は気孔の閉鎖であると言えます。
二酸化炭素の貯蔵に関して言えば、一例ですが、サボテンなどの多肉植物(CAM光合成生物)の場合、夜間に二酸化炭素は気孔から植物体内に取り込まれてリンゴ酸などの有機酸の形に化学変化することで貯蔵され、太陽エネルギーが供給される昼間には有機酸が再び二酸化炭素に変換されてルビスコによって光合成に利用される仕組みになっております。
佐藤 公行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2018-11-13