一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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ヘチマ水と根圧

質問者:   その他   深田
登録番号0427   登録日:2005-11-21
はじめてご質問します。

水が植物体内を移動する力の1つに根圧があり、その例としてヘチマ水が取り上げられます。
しかし、根圧は根から吸収した水分を押し上げるもので、道管内でのことです。
道管内にヘチマ特有の成分が含まれるのはなぜですか。師管から移動したものならば、むしろ、切った上部の茎から垂れ出てくる液を集めた方が良さそうですが。

よろしくお願いします。
深田様

ヘチマ水と根圧についての質問にお答えします。
ヘチマ水のように植物の茎を切断すると液体が切り口から溢れ出てくる現象は溢泌(いっぴ、exudation)といいます。これは根から吸収された水分が根圧によって押上げられるものです。溢泌の成分はほとんど水とミネラルで、これは土壌から供給されるものです。しかし、溢泌水にはアミノ酸、アミド、ウレイド、有機酸や時には糖も含まれます。植物の種類や時期により様々です。一番ふつうなのはアミノ酸、アミド、ウレイドです。土壌から根が吸収した無機窒素分は根で直ちにこれらの有機物質に変えられて、導管を通って地上部に送られますが、一部は根の細胞で使われます。また、光合成産物は篩管を通って地上部(葉)から根にも送られてきますが、一部は導管内へ入ることもある様です。ヘチマ水には特にサポニンの仲間が含まれていて、それが特色とされているようです。このサポニンの由来は分かりませんが、根で合成されれば木部導管組織と通って上部へ運ばれても不思議はありません。いずれにしろ、導管を通るのは水とミネラルだけではありません。したがって、溢泌液にはいろいろな有機化合物が含まれています。
なお、「切った茎の上部から垂れ出てくる液を集めた方がよいのでは」という考えですが、茎を切ると上からの維管束内の液体の流れは止まりますので、切り口から多量に流出液を集めることはできません。
JSPPサイエンスアドバイザー
 勝見 允行
回答日:2005-12-07
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