質問者:
中学生
JAPAN7
登録番号4271
登録日:2018-11-06
僕はfirst LEGO league というロボット大会に参加するJAPAN7というチームの者です。みんなのひろば
宇宙での植物栽培について
大会の今年のテーマは「宇宙」で、僕たちのチームは宇宙長期滞在における食糧生産について調べています。宇宙長期滞在のための食料確保として国際宇宙ステーションで食べられる多肉植物を育て食べることを提案したいと思っています。
色々調べているのですが分からない事があり教えてください。
宇宙での植物実験は種を宇宙に持っていき、ロックウールで栽培する実験が多いが、葉を宇宙に持っていき(葉から増やすタイプの植物のため)土で栽培することは可能なのか?
よろしくお願いします。
JAPAN7 さん
みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
植物の根は茎、葉から出ることが多くの植物種で実証されていますが、発根させることが非常にむずかしい植物種もあります。宇宙空間は地上とは環境が大きく違います。光、温度、水分湿度などは制御できますが、地上での植物成長に大きく影響する重力の制御は困難なことですね。無重力環境での植物成長を研究されている東北大学高橋秀幸先生に伺いながらお答えします。
宇宙飛行士・人類が宇宙に長期滞在するためには、食糧生産を含めて、生命を維持する装置を開発する必要があります。植物栽培装置もそのひとつで、植物を挿し木で増やすことも考えられています。実際に、宇宙でサツマイモの挿し木栽培を実現しようとする研究者がいます。宇宙で葉や茎から発根させることになります。この葉や茎の挿し木から発生する根は不定根といって、種子が発芽して最初にでてくる根(主根)に較べると伸びる方向が違います。地上で主根は重力を感知して(土の中を)下側に伸びますが、不定根は根を下側に伸ばす重力屈性の力が弱いので、発根してきた方向(多くは横方向か斜め下方向)に伸びます。宇宙の無重力環境下では重力屈性は起こらないので、最初に発根した方向に成長するようです。しかし、根には水の存在を
感知して、湿度の高い方に成長する性質(水分屈性)がありますので光や温度や養水分などの栽培環境を整えれば、宇宙船(重力がない状態)で種子が発芽して、植物体が育ち、花を咲かせて実を着け、種を生産できることがわかっています。ですから葉から根を発生させることができれば、通常と同じような土(水)栽培を行うことができます。葉を宇宙に持っていき(葉から増やすタイプの植物のため)土で栽培することは可能と思われます。しかし、茎や葉からの不定根の形成能は植物種によって大きく異なりますので、使用する植物種、条件を地上で調査、検討しておくことが重要です。宇宙で植物栽培に挿し木(葉や茎)を利用するアイディアは、植物の種類によっては、現実的で大変重要な技術になるかもしれません。
みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
植物の根は茎、葉から出ることが多くの植物種で実証されていますが、発根させることが非常にむずかしい植物種もあります。宇宙空間は地上とは環境が大きく違います。光、温度、水分湿度などは制御できますが、地上での植物成長に大きく影響する重力の制御は困難なことですね。無重力環境での植物成長を研究されている東北大学高橋秀幸先生に伺いながらお答えします。
宇宙飛行士・人類が宇宙に長期滞在するためには、食糧生産を含めて、生命を維持する装置を開発する必要があります。植物栽培装置もそのひとつで、植物を挿し木で増やすことも考えられています。実際に、宇宙でサツマイモの挿し木栽培を実現しようとする研究者がいます。宇宙で葉や茎から発根させることになります。この葉や茎の挿し木から発生する根は不定根といって、種子が発芽して最初にでてくる根(主根)に較べると伸びる方向が違います。地上で主根は重力を感知して(土の中を)下側に伸びますが、不定根は根を下側に伸ばす重力屈性の力が弱いので、発根してきた方向(多くは横方向か斜め下方向)に伸びます。宇宙の無重力環境下では重力屈性は起こらないので、最初に発根した方向に成長するようです。しかし、根には水の存在を
感知して、湿度の高い方に成長する性質(水分屈性)がありますので光や温度や養水分などの栽培環境を整えれば、宇宙船(重力がない状態)で種子が発芽して、植物体が育ち、花を咲かせて実を着け、種を生産できることがわかっています。ですから葉から根を発生させることができれば、通常と同じような土(水)栽培を行うことができます。葉を宇宙に持っていき(葉から増やすタイプの植物のため)土で栽培することは可能と思われます。しかし、茎や葉からの不定根の形成能は植物種によって大きく異なりますので、使用する植物種、条件を地上で調査、検討しておくことが重要です。宇宙で植物栽培に挿し木(葉や茎)を利用するアイディアは、植物の種類によっては、現実的で大変重要な技術になるかもしれません。
高橋 秀幸(東北大学大学院 生命科学研究科)
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2018-11-28
今関 英雅
回答日:2018-11-28