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学名が与えられない自然交雑種

質問者:   自営業   月
登録番号4281   登録日:2018-11-15
自然界には多くの自然交雑種が存在しますが
一つの種として学名が与えられる物と与えられない物の差は何でしょうか?
例えばエビネ属では自然交雑種であるタカネエビネは日本の中部以西という広範囲に生息するほど個体数が多く、稔性もあります。
伊豆大島のサクユリは伊豆半島のヤマユリの花粉の影響を受けて斑点の出る個体があるそうです。
またネペンテスの自然交雑個体も採集され専門店で販売される程度には個体数が多いです。
この事を考えると個体数や生息範囲、稔性の有無は関係ないように思えます。
学名が与えられる物と与えられない物の違いが知りたいです。
月 さん

みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
「 自然界には多くの自然交雑種が存在しますが一つの種として学名が与えられる物と与えられない物の差は何でしょうか?」とは、何を根拠として言われているのかがはっきりしません。学名は植物学では発見者が、ある個体の特徴が他の既知の種とは明確に違うと判断したときに、国際植物命名規約にしたがってつけられ公表されたものです。「学名が与えられないもの」とは既知の種と同じ特徴を持つ「個体」、あるいは私たちが全く知らない「個体」です。ご質問にあげられているタカネエビネにはCalanthe discolor var. bicolor、サクユリにはLilium auratum var. platyphyllum (牧野新日本植物図鑑ではL. platyphyllum (Nicholas) Makino)と言う学名が与えられ一般に認められています。タカネエビネはエビネ(ジエビネ)C. discolor Lindl.の変種、サクユリはヤマユリLilium auratum Lindl.の変種とされています。
しかし牧野新日本植物図鑑によればサクユリの扱いにはいくつかの見解があるようです。
ご質問の主旨はおそらく、園芸植物でよく見られるのように属名だけで表現し、恰も学名(属名+種小名+命名者名)がないように見える場合についてだとも思われます。ネペンテス Nepenthes、インパチエンスImpatiens、ペチュニアPetunia、ベゴニアBegonia、アネモネAnemoneなどなど沢山ありますが、これらはいずれも属名で、属に含まれる種、品種を包括的に表現したものです。園芸(栽培)植物は野生種、既存育成品種などを用い人為的交雑を繰り返して育成されますので、基本となる種がはっきりしている場合やはっきりしない場合がありますので 属名+種小名+‘園芸品種名’または 属名+‘園芸品種名’で表記することが認められています。例えば、ユリのカサブランカはオリエンタル交雑種のグループで基本となる種を表現することが困難なので Lilium 'Casa Blanca' またはLilium Oriental Group 'Casa Blanca' を学名としています。


今関 英雅(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2018-11-21
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