一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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えごまについて

質問者:   会社員   長坂
登録番号0432   登録日:2005-11-30
しその葉、ほうれん草等にはシュウ酸が含まれていますが、最近話題のしそ科のえごまの種子、または葉にはシュウ酸は含まれているのでしょうか?
長坂さま
 お待たせいたしました。先日頂いたご質問に対する回答が大阪大学の水野孝一先生から届きましたので、お届けします。


ご質問の件ですが直接エゴマのシュウ酸含量を調べたという論文は知りませんが、およそ以下のようなことは言えると思います。
シュウ酸というのはグリオキシル酸回路によるグリオキシル酸の酸化により生じる代謝副産物なので多くの植物にK塩、Ca塩として普通に存在する物質であり多かれ少なかれエゴマも当然持っている成分の一つです。カタバミ(Oxalis属)はシュウ酸(oxalic acid)の名の由来のように含量は非常に高いものです。ちなみに100グラムあたりの含量をミリグラムで表すとおよそホウレンソウやスイバでは約800、ダイコン、コマツナ、カブでは約50、キャベツ、ブロッコリー、カリフラワーでは約300、シソでは約100ほどといわれています。700〜800のものは生食にはむきませんが、300ほどでしたら問題なく生食できます。シソにいたっては野菜の中ではむしろ少ない部類にはいります。エゴマも精油やテルペン類の成分分析は多く報告されておりますがシュウ酸の含量が特に多い植物ではなさそうです。

 水野 孝一(大阪大学)
JSPPサイエンスアドバイザー
 柴岡 弘郎
回答日:2005-12-09