質問者:
自営業
まめちゃん
登録番号4326
登録日:2019-01-05
ナス科とマメ科の野菜が相性が良いということで、ナスと落花生を一緒に畑に植えています。みんなのひろば
ナス科とマメ科の相性が良い理由
理由としてはマメ科植物を植えることで、土の中に根粒菌が増え、土中のチッソ量が増えるため、ナス科植物もその恩恵を受けて育つと理解していました。
しかし、根粒菌が固定したチッソを吸収できるのは、共生関係を築いているマメ科植物だけだという話も聞きました。
そのマメ科植物を畑にすき込むことで初めて、根粒菌が固定したチッソを他の植物も恩恵を受けるということでした。
ということはマメ科とナス科を同時に植えると良い理由として、根粒菌はあまり関係ないようにも思えます。
マメ科としては余分なチッソをナス科が吸収することで、実の付きがよくなるなどはありそうですが。
そもそもコンパニオンプランツとして知られているものには、まだ科学的根拠がないものもあるようですので、ナス科とマメ科が相性が良い理由として、菌根菌が関係あるのか、どんな理由が考えられるのかなどを教えてください。
まめちゃん
みんなのひろば「植物Q&A」へようこそ。質問を歓迎します。
違う種に属する植物Aに隣接してBという種の植物を植えることにより、Aの生育に好ましい影響が生じるときに、Bをンパニオンプランツといいます。たとえば、トマトに隣接してマリーゴールドを植えると、マリーゴールドから放出される揮発性成分により、トマトはアブラムシの害を受けにくくなります。両者は成育時期が重なっている場合が多いです。他方、輪作といって、同じ土地に年をずらして、トウモロコシ、小麦、クロバーを順ぐりに植えることにより連作の障害を軽減することも広く行われています。農業の歴史では、イネを栽培するときアカウキクサ(シダ植物)を積極的に生やすことが中国で古くから行われていたという記載があります。アカウキクサに共生しているシアノバクテリア(ラン色細菌、ラン藻類)が窒素固定をするので、枯れて分解されたアカウキクサが窒素源となって米の収量を上げていたと説明されます。この場合、イネとアカウキクサは同じ場所に生えるが、生育の時期は厳密に言うとずれがあり、コンパニオン植物ではあるが、輪作における作物の組み合わせとも近い面があると感じられます。なお、アカウキクサは、アイガモ農法ではカモ餌としても役立つといわれます。
さて、質問のマメ科植物とナスの組み合わせですが、マメ科植物は根に根粒菌を共生させることにより窒素固定をしており、固定された窒素はマメ科植物の生育に利用されます。マメ科植物は、自身の栄養補給のために窒素固定をするのであって、他の植物のためではありません。根粒菌が増殖する場所は植物の根の細胞内であって、根の周辺の土の中ではありません。農地では多くの場合窒素栄養は不足しているので、マメ科植物を育てると、それが枯れたのちに、植物体が分解されて窒素源となり、自然農法では有効でしょう。しかし、隣接して生えている他の植物が同時期的に生えているマメ科植物からもらう窒素栄養はきわめてわずかでしょう。窒素肥料を与えている農地では、マメ科植物をナスに隣接して同時期的に植えたからといって、ナスの収量が上がるという効果はそれほど期待できないと思われます。
但し、エンドウやナスの組み合わせのように生育時期が異なる場合は、枯れたエンドウの地下部や地上部が分解されて、ナスの窒素栄養として利用されることは十分考えられると思います。
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実際の作物栽培においてこの問題がどうなっているかについて、植物栄養学が専門の間藤徹博士(京都大学農学研究科教授)に補足していただきました。
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マメ科もナス科も連作を嫌う作物です。連作すると後作の生育が良くない例が多いのですが、その理由はよくわかりません。連作すると土壌の微生物叢が偏るためではないか、と推察されています。
そういうマメ科とナス科ですが、生産者(プロのお百姓さん)にマメ科ナス科の共栄関係を尋ねてみたところ、これまでそういう現象に気が付いたことはない、とのことでした。
足も引っ張らない代わりにお互いに促進する、ということもないようです。
蛇足ですが、ジャガイモの畝の近くにナスを植えると、両方ナス科で害虫が共通するので、後作のナスの食害が大きい、というのはいつも経験することです。
以上
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みんなのひろば「植物Q&A」へようこそ。質問を歓迎します。
違う種に属する植物Aに隣接してBという種の植物を植えることにより、Aの生育に好ましい影響が生じるときに、Bをンパニオンプランツといいます。たとえば、トマトに隣接してマリーゴールドを植えると、マリーゴールドから放出される揮発性成分により、トマトはアブラムシの害を受けにくくなります。両者は成育時期が重なっている場合が多いです。他方、輪作といって、同じ土地に年をずらして、トウモロコシ、小麦、クロバーを順ぐりに植えることにより連作の障害を軽減することも広く行われています。農業の歴史では、イネを栽培するときアカウキクサ(シダ植物)を積極的に生やすことが中国で古くから行われていたという記載があります。アカウキクサに共生しているシアノバクテリア(ラン色細菌、ラン藻類)が窒素固定をするので、枯れて分解されたアカウキクサが窒素源となって米の収量を上げていたと説明されます。この場合、イネとアカウキクサは同じ場所に生えるが、生育の時期は厳密に言うとずれがあり、コンパニオン植物ではあるが、輪作における作物の組み合わせとも近い面があると感じられます。なお、アカウキクサは、アイガモ農法ではカモ餌としても役立つといわれます。
さて、質問のマメ科植物とナスの組み合わせですが、マメ科植物は根に根粒菌を共生させることにより窒素固定をしており、固定された窒素はマメ科植物の生育に利用されます。マメ科植物は、自身の栄養補給のために窒素固定をするのであって、他の植物のためではありません。根粒菌が増殖する場所は植物の根の細胞内であって、根の周辺の土の中ではありません。農地では多くの場合窒素栄養は不足しているので、マメ科植物を育てると、それが枯れたのちに、植物体が分解されて窒素源となり、自然農法では有効でしょう。しかし、隣接して生えている他の植物が同時期的に生えているマメ科植物からもらう窒素栄養はきわめてわずかでしょう。窒素肥料を与えている農地では、マメ科植物をナスに隣接して同時期的に植えたからといって、ナスの収量が上がるという効果はそれほど期待できないと思われます。
但し、エンドウやナスの組み合わせのように生育時期が異なる場合は、枯れたエンドウの地下部や地上部が分解されて、ナスの窒素栄養として利用されることは十分考えられると思います。
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実際の作物栽培においてこの問題がどうなっているかについて、植物栄養学が専門の間藤徹博士(京都大学農学研究科教授)に補足していただきました。
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マメ科もナス科も連作を嫌う作物です。連作すると後作の生育が良くない例が多いのですが、その理由はよくわかりません。連作すると土壌の微生物叢が偏るためではないか、と推察されています。
そういうマメ科とナス科ですが、生産者(プロのお百姓さん)にマメ科ナス科の共栄関係を尋ねてみたところ、これまでそういう現象に気が付いたことはない、とのことでした。
足も引っ張らない代わりにお互いに促進する、ということもないようです。
蛇足ですが、ジャガイモの畝の近くにナスを植えると、両方ナス科で害虫が共通するので、後作のナスの食害が大きい、というのはいつも経験することです。
以上
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櫻井 英博(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2019-01-20