一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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イチゴの光合成光量子束密度について

質問者:   会社員   キンヤ
登録番号4337   登録日:2019-01-17
こんにちは、キンヤと申します
室内でイチゴをLEDで育てることに興味あります。
LEDを光源とした場合にイチゴに1番最適な光合成に必要な光を供給できるのか疑問です。
例えばいちごの光飽和点を調べると25000lx程度だということはわかりましたが、さらに光合成光量子束密度(ppfd)という単位もあり、それが重要だということがわかりました。しかし、イチゴにおける光合成が最大になるppfdを調べても分かりませんでした。もしそういったデータがあれば教えていただけますでしょうか。
また最適なppfdの数値がだせるLED光源が存在するのでしょうか。
キンヤ 様

このコーナーをご利用くださりありがとうございます。
「光合成光量子束密度(Photosynthetically active Photon Flux Density, PPFD)」とは、単位時間に単位面積を通過する光合成に有効な光量子の数を示す数値です。光合成に有効であるためには光合成色素(緑色植物の場合にはクロロフィルとカロテノイド)に吸収される必要がありますが、便宜的に通常400nmから700nmまでの波長領域の光を対象にし、単位としては「(マイクロ)モル/平方メートル/秒」が使われています。
質問文に「LEDを光源とした場合にイチゴに一番最適な光合成に必要な光を供給できるのか疑問」と書かれていますが、懸念は光の強さですね。イチゴが生育して良い味の食用部分をつけるには最終的には光の質も関係してくるかと思いますが、まずは光合成を行って生育するに十分な光の強さが必要で、「光合成の光飽和点」が一つの目安になりますね。ところで、ある光源からの光について測定された「照度」とLEDからの光の「PPFD」を関連付けることは不可能です。さらに、現実のLED光源には三原色の発光ダイオードを集積したものや青色または近紫外の発光ダイオードと蛍光体からの光を重ね合わせたものなどいろいろな種類があって発せられる光の波長特性にも大きな違いがありますので、LED光と一言で論ずるわけには行きません。LED光源の発光強度がネックになっているのが現実だと思いますが、最近では「植物育成用」と銘打って太陽光に似せた波長分布(白色)のやや強い光源が開発されているようですので、メーカーとコンタクトされることをお勧めします。イチゴの光合成を飽和させるPPFDが分からなくても、他の植物の値が参考になるのではないでしょうか。ちぐはぐな問答になっていますが登録番号2834のQ/Aも参考になさってください。

佐藤 公行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2019-01-22