一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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種の大きさや重さと、発芽との関係について

質問者:   教員   大豆
登録番号4346   登録日:2019-01-28
こんにちは。
小学校3年生の、理科の学習プリントを採点している時に、正しい答えが分からない問題がありました。
「ヒマワリやアサガオのたねは、大きくて重いものの方が芽が出やすく育ちやすいです」○か×か、という問題です。
少し古いプリントで、手元に答えがなく、また、教師用の指導者や、インターネットを使って調べたのですが、はっきりとした答えに辿り着けませんでした。
私は、大きくて重い種の方が、養分が多い感じがするので、育ちやすいのではないかと考えているのですが、その根拠がなく、正しい知識を子供たちに与えたいと思い質問させて頂きました。
どうぞ、よろしくお願いいたします。
大豆さん

みんなのひろば「植物Q&A」へようこそ。質問を歓迎します

(回答は、植物生態学が専門の久米篤博士(九州大学大学院農学研究院教授)にお願いし、それを基に多少補足しました。)
農業的には,種をまいても発芽しない”しいな”、あるいは不稔種子を事前に選別することは重要です。成長の悪い種子、中身の入っていない殻だけの種子は、通常、小さかったり、軽かったり(密度が低かったり)するため、大きくて密度の高い種子、すなわち重い種子が選ばれます。質問の答えは○です。小学生レベルではこの程度の判断でよいと思います。
重い種子の方が、発芽が早くて発芽後もよく成長するという報告は多数ありますし、通常「小さくて軽い種子の方が芽が出やすく育ちやすい」ということはありません。(なお、イネでは、よい種籾を選抜するために、塩水法が利用されています。うるち米を例にとると、比重1.13の塩水に沈まないものは“しいな”のものが多いので捨て、沈むものを種籾として使います。)
細かく見ると、大きさによって光や温度に対する応答特性が違うとか、休眠状態が異なるとかの報告は多数あります。また、見かけや大きさ重さからは不稔種子の見分けがつかない植物もあります。


櫻井 英博(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2019-02-12