荒川　さおり　さん

木（樹木）がなくなると、陸地には草（草本）、海には藻だけが生えていることになりますが、それがどのような世界になるか、考えてみましょう。

１．草と同じように、樹木も太陽の光エネルギーをつかって空気中の二酸化炭素を固定する光合成によって大きくなっています。地球では海の藻、陸地の草と樹木が光合成をしていますが、地球全体の光合成の半分近くは樹木によって行われています。――＞木がなくなると、地球の光合成が半分に減り、空気中の二酸化炭素が光合成に使われる量が少なくなるため、空気中の二酸化炭素の濃度が高くなります。空気中の二酸化炭素は熱が地球から逃げるのをおさえるため、地球がこれまでより暖かくなり（地球温暖化）、海面レベルが高くなったり、気候が変化したりして、人の住んでいる現在の環境が大きく（悪い方向に）変わるでしょう。

２．樹木が生えている森林では、多くの草本植物、動物、昆虫、菌類などの微生物が樹木とお互いに助けあって生活しています。――＞森林の木がなくなれば森に住む多くの動物や昆虫はえさがなくなるために絶滅し、木陰の様な光の弱いところでしか生育できないシダ、コケなどの植物も枯れてしまい、また、キノコ狩りもできなくなるでしょう。熱帯の海岸にたくさん生えているマングローブの木もなくなりますが、この木の周りの魚もすみかを失うでしょう。

３．山に樹木が生えていると、雨が降っても雨水が森林の中に長い間保たれ、雨水を人々は有効に使うことができます（水源かん養林）。また、土に含まれている植物の生育に必要な養分も、森林があると雨水で流されてなくなってしまうことはありません。――＞木がなくなると、山に降った雨はすぐに流れてしまい、下流に洪水を引き起こしやすくなります。この時に、土や養分も一緒に流されて山には植物も生育できなくなります。この様なことは熱帯で森林を伐採したときにしばしば見られています。

４．身の回りを見渡してみれば、家屋、家具、エンピツ、木炭など木を材料にしてつくったものがいかに多いかに気がつかれるでしょう。紙もすべて木材を原料にしたパルプからつくられています。――＞木がなくなると、これら全てがなくなり、プラスチック、コンクリートなどで代用しなければならなくなるでしょう。紙がなくなれば、新聞、本などは何に印刷したらよいのでしょうか？木がなくなれば、カキ、リンゴ、ナシなどの果物は食べられなくなります。

　木がなくなったら地球の環境、人の生活にどれだけ大きく影響するかについてほんの一部を考えてみました。森林の樹木を大切に！