一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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学術資料中の単位について

質問者:   高校生   Riim
登録番号4368   登録日:2019-03-15
こんにちは。高校でリンゴを用いたジャガイモの萌芽抑制方法について研究をしている者です。

リンゴ一個あたりのエチレン濃度を調べていて、資料として「Role of Ethylene in Fruit Ripening」(StanleyP.Burg & Ellen A. Burg)という論文を見つけました。
参考になる資料が見つかったと喜んでいたのですが、その表1,2中に示されているエチレン濃度(表1では“Internal conc.”、表2では“Ethylene”)は、それぞれ果物何グラムあたりの濃度なのでしょうか?

間接的に植物に関わるような質問になってしまい申し訳ありません。
稚拙な文章で、分かりにくい部分もあるかもしれませんが、ご回答の程、よろしくお願い致します。
Riim さん

みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
ご指摘の論文は Burg 夫妻による Plant Physiology誌(アメリカ植物生理学会誌)の37巻179~189ページ、1962年の論文です(因みに文献を指定するときには掲載誌名、巻数、ページ、発表年号をも記載しないとその論文が何処に掲載されたのか判らず参照できませんので必ず記載することが大切です)。
この論文の表1、表2ともにエチレンの濃度をppm(part per million)で表しています。何処の濃度かというと、リンゴ果肉内の細胞間隙にあった空気(気相)の中のエチレン濃度です(そのため、internal conc.と表記しています)。この論文では、リンゴを水中に沈め、注射筒のプランジャーを完全に押した(何も入っていない)状態で、針を果肉内に突き刺しプランジャーをゆっくりと引き抜くと果肉内細胞間隙にあった気体が注射筒内に入ってきます。しばらく放置すると注射筒内の気体の圧が1気圧になりますから、その気体一定量(ふつう1ml)をとりガスクロマトグラフでエチレン量を測定しています。リンゴ果実を水中に沈めて気体を採取するのは、外気が混入しないようにするためです。近年では、真空容器にいれた水の中に果実を沈め、容器を減圧状態にすると細胞間隙の気体が泡となって外に出てくるのでその気体を採取しています。気相の濃度ですから使用する組織の重さは関係ありません。
かなり古い論文ですからppmと言う単位を使っていますが、容量比であることをはっきりさせるため1μl/liter を1ppmとし、最近ではμl/literを使用しています。


今関 英雅(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2019-03-22
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