一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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サクラの花はだんだん中心が赤くなる

質問者:   その他   りんご
登録番号4381   登録日:2019-04-02
サクラはつぼみがピンクで、咲くと白っぽくて、
古くなってくると中心が赤くなるようです
これはどうしてでしょうか
またサクラにとって何か利点がありますか
りんご さん

みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
花の色が開花した後で変化するのはサクラに限ったことではありません。アサガオ、スイフヨウ、ワタなどの花も開花翌日には多くの場合ピンクから赤色に変化します。
ソメイヨシノなどは花弁の基部、萼に色素が多くなります。花色が変化する花の色素はほとんどがアントシアニンです。花は種子を作ることを目的とする器官で、花粉媒介者(ポリネーター)を惹きつける工夫の1つが花弁色を魅力的にすることです(他にも芳香を放出したり,花蜜を用意したりしていますが)。しかし、受粉が済むと花弁の役目も終わり必要がなくなるので花弁細胞が崩壊する作業を始めます。老化過程へと進み、光の影響を受けるとアントシアニンの合成が高まってアントシアニン量が増加してきます。同時に細胞内にある液胞という袋内の液胞液は酸性となりアントシアニンはその効果で赤色へ変化します。アントシアニンの合成は若い元気な細胞でもおこる例はたくさんあることを付け加えておきます。若芽が真っ赤な(例えばレッドロビンと呼ばれるカナメモチの新芽やリンゴを始め多くの果実の外果皮などです。
長い説明になってしまいましたが、サクラの花が草臥れてきたためにアントシアニンが増加した結果で、「不必要になった器官を保持することに使うエネルギーを節約するために捨てる」利点があると言えるでしょう(断捨離です)。


今関 英雅(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2019-04-04
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