一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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桜の開花後、満開に至るまでの日数とその仕組みについて

質問者:   教員   まりちゃん
登録番号4382   登録日:2019-04-03
テレビで気象予報士の方が、桜の開花から満開までの期間について、日本最速は旭川で記録された0日、朝に開花宣言が出て午後には満開になったと言っていました。種類はエゾヤマザクラだったかと思います。また、その日の旭川の最高気温は約25度とのことでした。
冬芽の休眠打破に温度が関係していることは知っていますが、開花してから満開になるまでの日数と気温はどのように関係しているのでしょうか。その仕組みを教えてください。
まりちゃん さん

みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
桜の花は、花芽形成(花成)― 休眠 ― 休眠打破 ― 成長 ― 開花 ― 満開の過程を経て散ります。その後は果実形成という段階がありますがここでは対象としません。先ず一般的な経過を述べると、花芽形成は前年の8月から9月はじめ頃の間におきその後、休眠に入ります。休眠の程度は徐々に深まり10月から11月頃もっとも深くなり、その後徐々に浅くなっていきます(休眠の打破が徐々におこる)。12月から2月頃までは気温が低いので花芽は成長できない状態です。冬の終わりに気温が上がりはじめると花芽は成長をはじめ3月中下旬頃に開花し始め,平均的に見るとほぼ1週間から10日後に満開となり3日から5日後には散り始めます。
休眠打破には冬の低温が重要な要素となっていますので暖冬が続くと打破が遅れ開花時期も遅れることになります。また、春先の気温が高ければ花芽成長も早くなるため開花が早まることになります。開花から満開の長さは、この時期の気温が高ければ短くなり、低ければ長くなります。そのため日本のように南北に長い地域では気温と暦日に地域間の差が大きいので開花の時期、開花から満開までの期間が大きく異なることになり、各地の開花、満開情報の平均値をとっても余り意味のある値にはなりません。日本各地の開花日、満開日、気温をまとめた情報が公開されていますので、それをご覧になって頂きたいと思います。例えば、
http://www.sakurazensen.com/Page.htm
この他、「桜 満開から散るまで」をキーワードとしてWeb検索をするとたくさんの情報が得られます。



今関 英雅(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2019-04-04
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