一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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アブラナの冬越しはロゼットと言えますか?

質問者:   教員   本間
登録番号4387   登録日:2019-04-06
アブラナの話をする時に、冬越しはロゼットなのかどうか疑問に思ったのですが、素人が調べてみてもロゼットのそもそもの定義が分からず、このフォームを利用させて頂きました。よろしくお願いします。
本間 様

みんなのひろば植物Q&A を利用下さりありがとうございます。
ロゼット(rosette)はバラの花のような形をしたもののことをいいます。
植物の場合、節間が伸長しないため極端に短くなった茎に、葉が地面を這うように放射状に密集して配列し、全体としては丸い形状を示すことがあります。このような形状のものをバラの花に似ているということでロゼットといいます。ロゼットには、ハクサイやキャベツのように、密集して配列している葉が上部に伸びたものも含みます。ダイコンやカブも根から葉が出ているように見えますので根出葉と言われますが、これらの植物の葉も短い茎に密生しているのでロゼットです。

ロゼットを形成する葉をロゼット葉といいますが、一生、葉がロゼット葉のみの植物には、タンポポ、オオバコ、モウセンゴケなどがあります。また、日常よく目にするのは、冬季だけ、ロゼット状の越冬葉をつける植物で、ハコベ、オオマツヨイグサ、ナズナ、ヨモギなどがあります。生育環境が厳しく、背の高い植物が限られる場所でも、ロゼット植物が見られます。海岸の岩の上に生育するイソマツ、貧栄養の湿地に生えるモウセンゴケ、高山植物のコマクサやハクサンコザクラなどです。本コーナーの#3522にはロゼット植物の多くの例がでておりますので参考になると思います。
アブラナを含むアブラナ科植物には、ロゼット状の越冬葉を生じる植物がたくさんあります。上記のハクサイ、ダイコン、キャベツもそうです。コマツナ、ターサイ、チンゲンサイ、ノザワナなどもロゼット葉を葉菜として利用しているものです。

なお、ロゼットのメリットについて、登録番号0226に詳しい解説がありますので併せてご覧になって下さい。

  

庄野 邦彦(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2019-04-10