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もっこうばらからサクラが咲きました

質問者:   大学生   ばら
登録番号4405   登録日:2019-04-24
もっこうばらからサクラが咲きましたがこういったことは珍しいでしょうか。根、幹、枝を確認しましたがもっこうばらです。しかし咲いているのはどう見てもサクラです。こういったことが普段起こりうるのか教えていただけると幸いです。
ばら様

植物Q&A のコーナーをご利用下さりありがとうございます。
恐らくキメラだろうと思います。キメラというのは、「二つ以上の異なった遺伝子型の細胞、あるいは異なった種の細胞から作られた1個の生物個体」(岩波 生物学辞典)です。前者の例は、植物体の一部細胞に突然変異が生じた場合で、斑入りの枝とか、花色が変化した枝に見られます。しかし、モッコウバラからさくらが突然変異で生じるとは思えません。ご質問のような現象は、後者のケースで、接ぎ木を行うとときおり見られます。接ぎ木というのは、2個以上の植物体を切断面で接着、接合させて一つの植物体を作る技術で、下部の根を含む部分を台木、上部の地上部を接ぎ穂といいます。いろいろな野菜の接ぎ木苗が売られていますが、例えばキウリの接ぎ木苗は、通常病原菌に強いカボチャを台木にしてキウリの地上部を接いだものです。 
このように接ぎ木を行った場合、接合面からあたらしく枝が伸びだすことがありますが、時折2種の植物細胞が混在していることがあり、キメラになります。また、接合面で切断すると、そこから生じた枝に2種の細胞が混在したキメラになることがあります。

お花見などで一番普通に楽しんでいるのは、ソメイヨシノ(さくらの1種)ですが、どのソメイヨシノの木も遺伝子組成が同一のクローンです。クローンを作るのには栄養繁殖が必要で、挿し木、接ぎ木、取り木などが用いられます。ソメイヨシノは発根しにくいこともあって、接ぎ木で増やしています。ご質問の場合は、モッコウバラを台木にして、ソメイヨシノを接いだ植物の接合面からのびだした枝の一部にソメイヨシノの細胞が混在しており、その細胞が花に分化したと考えると説明がつきます。ただ、この説明で残されている問題があります。通常ソメイヨシノを繁殖させるために用いる接ぎ木の台木にはオオシマザクラが用いられています。モッコウバラを台木にした例を探してみたのですが、見つけられていません。台木と接ぎ穂の間には、接着、接合が可能な組み合わせがあります。同じバラ科の植物ですので、接着、接合する場合はあるが、活着率が低いので実用化されていないのではないかと考えています。

本コーナーに同様な例として、「きゅうりがかぼちやのようになっていく」(登録番号2064)があります。また、キメラについては 登録番号0465 に詳しい解説があります。接ぎ木の親和性の問題については登録番号3810 をご覧ください。


庄野 邦彦(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2019-05-03
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