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師管の染色について

質問者:   一般   加藤
登録番号4406   登録日:2019-04-26
初めて投稿致します。加藤と申します。

ふと最近、小学生の頃に行った「ホウセンカの染色実験」のことを思い出しました。このときの実験は個体の茎を切断し、着色料を混ぜた色水に付け、どのように着色されているかで水がどう運搬されていくのかを知る実験でした。

ただ少し気にかかるのが「染色液がどこを通って運ばれたか」という点です。インターネットにある植物の解説サイトを参考するには、維管束の導管から吸収して全体に行き渡らせるとありました。一方で染色液は師管を通らないものとされています。

なぜ染色液は師管を通らないのでしょうか。いわゆる浸透圧的な問題なのでしょうか。または篩板の孔を着色料の分子が通り抜けられないのでしょうか… 一方で師管だけを染め上げる方法はあるのでしょうか。

同じような質問が以前にありましたら申し訳ありません。ご回答楽しみにしております。ご教授お願い致します。
加藤 様

この質問コーナーをご利用下さりありがとうございます。
ホウセンカの茎の切り口から色素が吸収される様子を観察されたとのこと、これは道管(用語としては「導管」を用いない)を通した水の流れを観ていたことになります。なお、色素の種類によっては道管に関連する組織への吸着が起きていたかも知れません。道管の細胞には内容物がなく、内部は水溶液で満たされており、蒸散が駆動力となって根から葉への連続する水の流れが作られています。このため、水に溶けた物質は何でも水と共に吸い上げられることになります。これとは対照的に、篩管(用語としては「師管」を用いない)は原形質を保持する細胞で構成されており、エネルギーを使って作動する輸送体の働きにより養分の通路となっております。草本などの切り口から排出される粘液状の物質は篩管の内容物です。茎の切り口から篩管を通して水が吸収されることはほとんどありませんので、水に溶けた色素を吸収させる方法で篩管を染め上げるのは難しいと思います(註:篩板の開いた孔の直径は5ミクロン程度で、色素分子のサイズに比べると非常に大きい)。ただし、植物の組織をアルコールなどで固定し、適当な色素で染色して顕微鏡下で篩管を観ることはできます。この目的にはいろいろな色素が使われますが、篩板に沈着する多糖類であるカロースを染める「アニリン青」や「コラリンソーダ」などが良く使われているようです。この質問コーナーには篩管の構造・機能・染色についての幾つかのQ/Aが掲載されておりますので、ぜひお読みください(例えば、登録番号0277, 0466, 2313)。
また、道管の吸水や染色についての記載もありますので、参考になさって下さい(例えば、登録番号2724)。


佐藤 公行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2019-05-01
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