一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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ビオラとスミレの交雑について

質問者:   一般   ちえ
登録番号4415   登録日:2019-05-07
2年前に苗を買って来て、植木鉢いっぱいのビオラを育てていました。
たくさん種もできていたのですが、去年は近くに置いている別の鉢に1株の紫色のビオラが咲いただけでした。今年の3月末、去年ビオラが咲いた場所に、スミレが咲きました。ビオラではなく、蜜房のあるスミレです。しかも、白色と紫色のグラデーションでとても可憐な色でした。
質問①近所には白いスミレが咲く場所があるのですが、スミレとビオラが交雑することはあるのでしょうか?蟻が種を運んで来たにしても、ビオラが咲いていた同じ場所に咲くとは、とても不思議でなりません。
質問②今の季節になり、次々と小さなビオラが芽を出したり花を咲かせています。スミレが咲いたのは、一株だけですが、次々に葉が出て茂ってきました。このままスミレが定着してくれる可能性は高いでしょうか?

よろしくお願いします。
ちえ さん

みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
すみれ、パンジー、ビオラ、みんなスミレ属(Viola)で、どれがどれだか紛らわしいですね。英語でもViolet、Pansy、Violaとして区別しているようですが、植物学的な分け方でなく、園芸分野で使われている分け方です。スミレ属は大きな属でたくさんの種、変種がある上に園芸的に古くから栽培育種がなされ、膨大な品種・栽培種数があるため区別同定するのが大変です。スミレ属の多くは開放花(ふつうに花と呼ばれる花)と閉鎖花(花弁が開かないで蕾状だが自家受精で種子を作る)を形成し、開放花は種間で相互に交配可能です。種子はアリによっても運ばれるとされています
が、果実はさく花で種子は莢の開裂力によっても分散します。多年生でもあり繁殖力はかなり旺盛ですが、タチツボスミレやツボスミレ(ニョイスミレ)のようにふつうに見られる野生種などでも1つの株は数年で消滅するようで、一時はたくさんあってもいつの間にか少なくなってしまったことを経験しています。「次々に葉が出て茂ってきた」一株のスミレも定着して一時はたくさん増殖するでしょうが、栽培管理、種子管理をして2,3年毎に増殖を心がけないといつの間にかなくなってしまう恐れはあります。



今関 英雅(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2019-05-13
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